根管治療の2回目以降が必要な理由は、歯科医院でよく聞かれることです。1回目によくお話してあっても1回目は歯科医院に来た緊張感、強い痛み、忙しい中時間のやりくりした疲労など有り、再度2回目以降にまた聞かれる事があります。根管の形はとても複雑で、その歯の種類や個人差によって、根管の数や大きさが違います。また、根管はその歯の神経・血管が通っており、細く柔らかいです。そのため根管の形を変え拡大してゆくには、ファイルという細い器具を使い、根管の形に沿って進めます。この作業は、慎重に根管を傷つけないように行うので時間がかかります 。根管はちょっとしたことでも傷つきやすく、傷ついてしまうと再感染の可能性が高まります。根管内に細菌が再び入り感染を引き起こしてしまいます。再感染を防ぐために、根管内を完全に無菌化するようにします。根管内は細菌が繁殖しやすい環境なので、1回の消毒ですべての細菌を無くすことはできません。数回にわたってよく消毒し、細菌の数を減らしてゆくことが必要です 。薬を詰め仮蓋をする作業を数回行います。仮蓋の下のお薬は、次のアポイントまでに気化し歯の隅々まで、殺菌効果や炎症を抑える効果をもたらします。少しずつ、副作用が少なく効果的に効いてゆきます。1度に強力な効果を及ぼすのではなく、少しずつ効果を及ぼしてゆきます 。このような理由で、根管治療は期間がかかりやすく、1度や2度では終われない可能性も出てくる事があります。
根管治療の2回目以降の流れ
1.仮の蓋を除き治療ができるようにします。
2.歯髄除去の続きと根管の拡大を行います。2度と痛くならないように、根管内の神経や、ばい菌を完全に除くことが必要です。感染した歯髄や歯質を完全に除いてゆきます。そのため根管内を拡大してゆきます。
3.ファイルという細い器具を使ってちょっとずつ根管を広げてゆきます。手をつけていない元々の根管はとても細く曲がっており、お掃除がしにくい状態です。そのため、治療のゴールに向かって、根管を大きく太くまっすぐにし最終的なお薬を入れるスペースを設けてゆきます。この根管拡大という工程は前歯では1回で終わることもありますが、奥歯の場合は数回はかかってゆきます。
4.根管を拡大した際は、根管内に出てきた切削片を除くために薬剤を使って洗浄・消毒します。
5.根管治療を続ける必要があり、お薬を効かせる必要があれば、根管をお薬で満たし、仮蓋をします。
6.根管の拡大が終わり、症状がよくなった場合は、最終的なお薬で根管を満たします。歯科では根管充填という言葉でいわれます。歯科では根管の中を隙間なく埋める言葉として使われます。プラスティック用の個体とクリーム状の液体からなるお薬で、感染しないように隙間なく埋めてゆきます。個体は熱で溶け冷やすと固まり、液体はゆっくりと時間で固まってゆきます。この工程の際、熱い器具がお口に入りますので、火傷などしないように「お口を大きく開けて下さい。」と声かけがあると思います。
7.根管充填が終わったら、「きちんとお薬が根管内を満たしているか」を小さなレントゲンフィルムで治療中の歯を撮影し確認します。
8.根管充填後、経過が順調なら、歯の柱(歯科ではコアと呼ばれます)を作る治療に進みます。この柱は、金属やレジンなどの材料で出来ており、これで被せ物を支えてゆきます。
9.歯の柱が出来たら、一番外枠の被せ物を作ってゆきます。歯の被せ物は金属やセラミックなどの材料で作られます。その歯の形や色を再現し、お口の中で歯として機能するように作られます。人工の被せ物で歯を保護し、歯の機能として噛み合わせや見た目を改善します。
根管治療2回目以降の使用器具・薬
根管治療の初回で既出したファイル、スメアクリーン、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化カルシウム、キャビトンに加え、
ガッタパーチャ
プラスチックやゴムのような材質で、根管の形状によく合い根管内部を満たします。
シーラー
ガッタパーチャと根管の間を埋める液状の、のりです。
コア
材質は、金属、レジン、グラスファイバーが有ります。金属コアは強度が高いですが、歯根が破れるリスクがあります。レジンコアは、強度がやや劣ります。グラスファイバーコアは強度がつよく、しなやかで折れにくいです。
被せ物
金属では、金銀パラジウム合金が一般的です。金属以外では、セラミックやハイブリッドで作ります。
根管治療2回目以降の費用
根管治療では、保険診療か自由診療を選択することができます。自由診療は、保険診療に比べ高くなります。自由診療の場合、材料や機材に制限がないため、治療方法の選択肢が増えます。
保険診療 5000円~20000円
自由診療 90000円~300000円
まとめ
根管治療では回数・時間がかかることがあります。忙しくされている中でも再発しないよう通院することが大切です。根管治療終了後は定期健診・セルフケアで再発を防いでいきましょう。
今回は、「根管治療の初回」につづくものとして書かせて頂きました。