スタッフブログ

2023.06.16更新


根管治療の2回目以降が必要な理由は、歯科医院でよく聞かれることです。1回目によくお話してあっても1回目は歯科医院に来た緊張感、強い痛み、忙しい中時間のやりくりした疲労など有り、再度2回目以降にまた聞かれる事があります。根管の形はとても複雑で、その歯の種類や個人差によって、根管の数や大きさが違います。また、根管はその歯の神経・血管が通っており、細く柔らかいです。そのため根管の形を変え拡大してゆくには、ファイルという細い器具を使い、根管の形に沿って進めます。この作業は、慎重に根管を傷つけないように行うので時間がかかります 。根管はちょっとしたことでも傷つきやすく、傷ついてしまうと再感染の可能性が高まります。根管内に細菌が再び入り感染を引き起こしてしまいます。再感染を防ぐために、根管内を完全に無菌化するようにします。根管内は細菌が繁殖しやすい環境なので、1回の消毒ですべての細菌を無くすことはできません。数回にわたってよく消毒し、細菌の数を減らしてゆくことが必要です 。薬を詰め仮蓋をする作業を数回行います。仮蓋の下のお薬は、次のアポイントまでに気化し歯の隅々まで、殺菌効果や炎症を抑える効果をもたらします。少しずつ、副作用が少なく効果的に効いてゆきます。1度に強力な効果を及ぼすのではなく、少しずつ効果を及ぼしてゆきます 。このような理由で、根管治療は期間がかかりやすく、1度や2度では終われない可能性も出てくる事があります。

根管治療の2回目以降の流れ
1.仮の蓋を除き治療ができるようにします。
2.歯髄除去の続きと根管の拡大を行います。2度と痛くならないように、根管内の神経や、ばい菌を完全に除くことが必要です。感染した歯髄や歯質を完全に除いてゆきます。そのため根管内を拡大してゆきます。
3.ファイルという細い器具を使ってちょっとずつ根管を広げてゆきます。手をつけていない元々の根管はとても細く曲がっており、お掃除がしにくい状態です。そのため、治療のゴールに向かって、根管を大きく太くまっすぐにし最終的なお薬を入れるスペースを設けてゆきます。この根管拡大という工程は前歯では1回で終わることもありますが、奥歯の場合は数回はかかってゆきます。
4.根管を拡大した際は、根管内に出てきた切削片を除くために薬剤を使って洗浄・消毒します。
5.根管治療を続ける必要があり、お薬を効かせる必要があれば、根管をお薬で満たし、仮蓋をします。
6.根管の拡大が終わり、症状がよくなった場合は、最終的なお薬で根管を満たします。歯科では根管充填という言葉でいわれます。歯科では根管の中を隙間なく埋める言葉として使われます。プラスティック用の個体とクリーム状の液体からなるお薬で、感染しないように隙間なく埋めてゆきます。個体は熱で溶け冷やすと固まり、液体はゆっくりと時間で固まってゆきます。この工程の際、熱い器具がお口に入りますので、火傷などしないように「お口を大きく開けて下さい。」と声かけがあると思います。
7.根管充填が終わったら、「きちんとお薬が根管内を満たしているか」を小さなレントゲンフィルムで治療中の歯を撮影し確認します。
8.根管充填後、経過が順調なら、歯の柱(歯科ではコアと呼ばれます)を作る治療に進みます。この柱は、金属やレジンなどの材料で出来ており、これで被せ物を支えてゆきます。
9.歯の柱が出来たら、一番外枠の被せ物を作ってゆきます。歯の被せ物は金属やセラミックなどの材料で作られます。その歯の形や色を再現し、お口の中で歯として機能するように作られます。人工の被せ物で歯を保護し、歯の機能として噛み合わせや見た目を改善します。

根管治療2回目以降の使用器具・薬
根管治療の初回で既出したファイル、スメアクリーン、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化カルシウム、キャビトンに加え、
ガッタパーチャ
プラスチックやゴムのような材質で、根管の形状によく合い根管内部を満たします。
シーラー
ガッタパーチャと根管の間を埋める液状の、のりです。
コア
材質は、金属、レジン、グラスファイバーが有ります。金属コアは強度が高いですが、歯根が破れるリスクがあります。レジンコアは、強度がやや劣ります。グラスファイバーコアは強度がつよく、しなやかで折れにくいです。
被せ物
金属では、金銀パラジウム合金が一般的です。金属以外では、セラミックやハイブリッドで作ります。

根管治療2回目以降の費用
根管治療では、保険診療か自由診療を選択することができます。自由診療は、保険診療に比べ高くなります。自由診療の場合、材料や機材に制限がないため、治療方法の選択肢が増えます。

保険診療 5000円~20000円
自由診療 90000円~300000円

まとめ
根管治療では回数・時間がかかることがあります。忙しくされている中でも再発しないよう通院することが大切です。根管治療終了後は定期健診・セルフケアで再発を防いでいきましょう。
今回は、「根管治療の初回」につづくものとして書かせて頂きました。

投稿者: 柏木歯科医院

2023.06.09更新

深い虫歯とは

深い虫歯とは、歯の表面からかなり深い所まで進行した状態です。虫歯は、初め、歯の表面の軽度の虫歯から始まり、次第に深く進みやすくなってゆきます。歯は外側をエナメル質、象牙質、セメント質という層に覆われてます。通常、虫歯はこの3層で止まりますが、これ以上、虫歯が進むと歯の神経に炎症が進み、強い痛みが出るようになります。

根管治療を避けるべき理由
歯は、根管のお陰で栄養が隅々まで行き渡り、健康な状態を保てます。そのため逆に、根管を治療した歯は栄養が行き渡りにくく、脆くなります。大きな虫歯にならないよう、日々のブラッシングと定期検診が重要です。虫歯の予防、早期発見が重要です。虫歯の治療は早ければ早いほど、治療時の歯の負担は減ります。

根管治療の初回の流れ

1.問診をします
歯の痛みはどのくらいの頻度で起こりますか?
痛みは、どの歯のどの部分で起こりますか?(例、左下奥から2番目の歯の外側)(例、右上一番奥の歯のみえている部分ではなく歯肉に埋もれている部分)
歯の痛みの強さはどのくらいですか?(例、どくどく脈を打つように痛い)(例、触れられたら飛び上がるほど痛い)
きっかけはありますか?(例、冷たいもの、温かいもの、甘いもの、酸味のあるもの、噛むことなど)
2.今回のように強い歯の痛みの場合パノラマ写真(大きな写真)を撮ることが多いです。
3. 必要に応じデンタル写真(小さな写真)を撮ります。
4. 歯を触った感触などを考慮し原因となる歯を特定します。
5. 歯科麻酔をし虫歯をとります。深ければ歯の神経をとります(もしくは歯の神経が入ってた管に入り込んだばい菌をとります)。根管治療の前にまず虫歯をすべてとります。虫歯が残っているとそこからまた根管内にばい菌が増殖するからです。神経は、歯の根の管の中に細い針や機械を入れて、とっていきます。
6. 歯の神経が入っている管を拡大します。管は菌に侵されているので壁を削っていきます。同時に管の外にお薬をしみ込ませていきます。この根管拡大は前歯では数回で終わりますが奥歯では回数がかかることがあります。
7. 根管内をよく消毒したら仮蓋をし、お薬がよく効くように、食べ物や細菌が中に入らないようにします。
根管治療の初回、当日治療後数時間して、歯科麻酔の効果が切れた後に痛みが出ることがあります。歯の神経の切断面が傷口になるため痛みとして出てくることがあります。翌日には痛みが治まることがほとんどです。痛み止めを手元に持っておくようお話あると思いますので、痛かったらそれを使って下さい。
治療した歯で、噛んだり、ねばっこい物に触れると痛みが出やすくなります。しばらく食事の際は、注意して頂くようお願いされると思います
仮蓋は少しずつ減りがちです。嚙み合わせによっては大きく減りますが次の治療アポイントまでに全部無くなることは少ないです。

 


根管治療の使用器具・薬
ファイル
根管の中を綺麗にするには、ファイルと呼ばれる金属製のドリルを使用します。ファイルには、さまざまな種類が存在し、用途によって使い分け、手で操作したり機械の先に着けます。根管の形を作ってゆきます。
スメアクリーン
アルカリ性のお薬です。細菌がいるスメア層という固まりごとアルカリ性に殺菌します。
次亜塩素酸ナトリウム
スメアクリーンと反応し根管内の清掃を高めます。
水酸化カルシウム
根管の洗浄と拡大の後、更に清潔を高める殺菌するために水酸化カルシウムを根管に貼ります。次の治療アポイントまで少しずつ歯の奥まで殺菌します。
キャビトン
根管治療では、毎回蓋を外しまた蓋をしめます。その際に使うのがキャビトンという水で固まる仮の蓋です。水で固まるため、密封できます。除去も簡単なので次の治療アポイントの際、さほど手間がかからず治療を再開することが出来ます。

根管治療の費用
根管治療では、保険診療か自由診療を選択することができます。自由診療は、保険診療に比べ高くなります。自由診療の場合、材料や機材に制限がないため、治療方法の選択肢が増えます。

保険診療 1000円~5000円
自由診療 80000円~120000

まとめ
歯が痛くなると、とてもつらく、忙しい中でも歯科医院に行き、痛みをとってもらわないといけなくなります。根管治療の可能性がある時、その治療内容そのものの説明のみならず、治療期間の長さもよくお話するようにしています。よく説明しても痛みに注意がいきがちになりやすいため、今回この文章を書かせて頂き、多くの方が歯科医院に来て下さる前に読んで頂ければと思いました。今回は、歯が痛く歯科医院に行く予定の方のために書かせて頂きました。

投稿者: 柏木歯科医院

2023.05.26更新

 

こんにちは
病気の治療に取りかかる前には、まず検査が必要です。
これは矯正治療も同じで、歯列不正、または不正咬合の治療に取りかかる前に検査をします。
矯正治療ではどのような検査をするのでしょうか。
今回は、矯正治療の検査についてお話しします。

矯正治療での検査について
矯正治療は、数年かかることも珍しくありません。
しかも、治療計画が進むにつれて、歯並びだけでなく、顎の骨格やお顔つきまで変わっていきます。
このため、矯正治療での検査では、治療前の状態の把握と記録だけが求められるわけではありません。
治療の経過が比較しやすいように検査の条件が決められているものもあります。
このようなところが矯正治療の検査の特徴といえます。
現在行われている矯正治療の検査としては、主に『お口の検査』『歯の模型の検査』『写真の検査』『レントゲン写真の検査』などになります。

お口の検査
お口の検査としては、歯並びや噛み合わせなどの歯の状態に加え、むし歯や歯周病の有無、むし歯がある場合の治療の状況、プラークコントロールの状態などを確認します。
また、歯並びに関係する舌や頬、呼吸の癖、顎の動き具合なども検査します。

歯の模型の検査
歯の模型とは、歯型をとり、そこに石膏を流し込んで作ったものです。
歯の模型から、乳歯の状態、永久歯の生え具合や位置、向き、歯並びの隙間の有無、歯並びの形、歯並びの左右対称性、前歯や奥歯の噛み合わせ状態などを調べます。
また、歯の模型は、歯の大きさと歯を並べる顎の大きさのバランスを調べるのにも欠かせません。
歯の大きさと歯を並べる顎の大きさのバランスは抜歯するかどうかの判断基準になるのでとても重要です。
そこで、歯の模型にノギスを当てて実際に測り、歯や歯並びの大きさ、歯が並ぶスペースの広さを確認し、比較します。

写真の検査
写真は、現在の状態を記録するために有用です。

顔貌写真
顔の状態を正確に把握し、記録するために写真を撮影します。
顔写真を撮影するとき、条件を合わせた規格写真にすれば、治療の経過に伴う変化を正確に比較することができます。

口腔内写真
歯や歯並びの状態、噛み合わせの状態を確認するだけではなく、歯の色や詰め物や被せ物の状態、舌の状態などを記録するためにお口の写真も必要です。
上顎と下顎の噛み合わせ面、噛み合わせたときの正面や側面の写真を撮影します。

レントゲン写真の検査
矯正治療で撮影されるレントゲン写真による検査は、主に3種類です。

パノラマエックス線写真
パノラマエックス線写真は、歯科治療で広く利用されているレントゲン写真で、パントモグラフィともよばれます。
この検査では、確認することが非常に多いです。
歯の数に過不足はないか、埋まっている歯があるかどうか、永久歯の歯根の形や方向はどうか、むし歯や歯周病の有無、骨の状態などについて確認します。
また、
子供さんの場合は、それらに加えて、乳歯の歯根の状態、そして次に生えてくる永久歯の状態、生えようとする向き、歯根の成長具合をチェックします。
このほか、顎関節の状態や鼻、上顎洞という鼻の隣にある骨の空洞の状態も確認できます。

頭部エックス線規格写真
頭部エックス線規格写真は、セファロレントゲンともよばれるレントゲン写真です。
この検査は、上顎と下顎の骨格の形や大きさ、骨格の歪みの有無、歯の傾きなどの確認を目的としています。
矯正治療では欠かせないレントゲン写真ともいえ、むし歯治療や歯周病治療で撮影されることはありません。
頭部エックス線規格写真の特徴は、レントゲンの焦点と撮影される方の中心、フィルム表面の距離が決められている点です。
いつ撮影しても同じ条件で写し出されるため、年数が経過した後も、歯や顔面、頭の変化を比較しやすくなっています。

手のレントゲン写真の検査
これは、成人の方には行わない、子どもだけを対象としたレントゲン写真撮影です。
”歯並び”の治療で手のレントゲン写真というと意外に思われるかもしれません。
この検査は、お子さんの成長発育状態を確認することを目的としています。
手の骨は、成長発育にともなって少しずつ作られていくものなので、手のどの部分の骨がどれくらい出来ているのかを見ると、その子の成長発育状態がわかるからです。

その他
顎の関節や、顎の骨格に何らかの異常が認められる場合には、CT撮影をすることもあります。

その他の検査
その他の検査としては、下顎の動きの異常の有無を調べる顎運動記録や、お口を開け閉めする筋肉の状態を調べる咀嚼筋筋電図検査、発音の検査などがあります。

まとめ
今回は、矯正治療での検査についてお話ししました。
矯正治療では、主に
①歯の模型の検査
②写真の検査
③レントゲン写真の検査
これら3種類の検査が行われます。
検査にかかる時間は、1時間前後です。
保険診療の歯科治療でも行われるお馴染みの検査もありますが、矯正治療の検査なので原則的に自費診療です。
当院は、矯正治療の専門知識や治療経験の豊富な歯科医院です。
矯正治療での検査について、ご不明な点があれば、ご質問ください。

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投稿者: 柏木歯科医院

2023.05.19更新


フロスと歯間ブラシ、どちらを使う?!

「デンタルフロスと歯間ブラシって、どうやって使い分けるのですか?」
こんな質問を受けることがあります。
どちらも歯ブラシと一緒に用いる、口腔内の清掃アイテムですね。
どちらを用いたほうが効果的なのかは、お口の中の状態によっても変わってきます。
デンタルフロスと歯間ブラシ、どのような特徴があるのか、どんな時はどちらを用いたほうが良いのか、詳しくみていきましょう。




1.デンタルフロスとは
デンタルフロスは、隣り合う歯と歯の接している部分を清掃することができる唯一のアイテムです。
「歯と歯の間にモノが挟まって取れない」
そんな時に、とても便利ですね。
しかし、フロスの働きはそれだけではありません。
歯に沿わせて動かすことにより、狭い歯と歯の間のすき間を清掃することも出来ます。
歯間ブラシが入らないすき間は、デンタルフロスを用いていくのが良いでしょう。

2.歯間ブラシとは
歯間ブラシは、歯と歯の隣り合う面と、歯肉から成る三角形のすき間の清掃が得意なアイテムです。
歯ブラシのみでは毛先が届きにくく、虫歯になりやすい部分を、歯ブラシよりも手早く簡単にお掃除することができます。
4S~Lと、様々なサイズがありますので、まずは自分に合ったサイズを見つけることからはじめましょう。

歯のすき間に対して細すぎる歯間ブラシを用いると、ブラシがスカスカで歯にうまく当たらず、清掃効率が下がってしまいます。
太すぎるサイズを無理やり使用すると、歯肉を傷つけてしまうことや、歯が削れてしまうことなどが考えられます。
少し抵抗を感じながらも、歯間にスムーズに出し入れできるくらいがベストなサイズです。
とはいっても、お店で試すわけにもいきませんので、最初は歯科医師や衛生士に、自分に合ったサイズを教えてもらうのが良いでしょう


3.どんな時に、どちらを使う?
デンタルフロスと歯間ブラシ、どちらも非常に優れた清掃補助用具です。
では、どのような時に、どちらを用いるのが良いのかを見ていきましょう。

3-1.歯周病の進行が認められるとき 
歯周病の進行が認められると、歯肉が退縮し、下がってくるので、歯と歯の間の三角形のすき間が大きくなっていきます。
そんな時は、歯間ブラシがおすすめです!
歯間ブラシを三角形のすき間に挿入し、3つの面に沿わせるよう動かすことで、歯ブラシが届きにくい細かいすき間を清掃することができます。
奥歯の清掃にはL字型のもの、前歯にはI字型のものを使用すると動かしやすいでしょう。
歯肉の腫れがみられる場合は、歯間ブラシで歯と歯の間を行き来することによって、汚れを落とすのと同時に歯間部歯肉のマッサージ効果も期待できます。

3-2.歯列不正の部分
歯がねじれていたり、隣の歯と重なっていたりする部分は、食べ物もつまりやすく、歯ブラシでの清掃も難しくなりがちです。
そんな部位は、デンタルフロスがおすすめです。
ノコギリのようにギコギコと動かしながらゆっくりと歯と歯の間に挿入し、歯に沿わせるように上下に動かします。
糸巻きタイプの場合、30cm程度に切り、両手の指1本ずつに軽く巻き付け使用します。
歯と歯の間から糸を外す時は、片手の糸を外して歯と歯の間からスッと引き抜くようにしましょう。
ホルダータイプの場合は、勢いよく歯と歯の間に挿入して、歯肉を傷つけてしまわないように注意しましょう。
外すときは、挿入する時同様、ノコギリのように上に動かしながら外していきます


3-3.補綴物が入っている部位
一部分の被せ物(インレー)や、差し歯(クラウン)、ブリッジなどが入っている部分は、少し注意が必要です。
すき間が大きい場合は、歯間ブラシを用いましょう。
ブリッジの部分は、歯と人工歯の間に汚れが残りやすくなります。ブリッジは、上からはフロスが入らないので、歯間ブラシでこまめに清掃するようにしましょう。
インレーやクラウンの根元などで、すき間が小さく歯間ブラシが入らない場合は、フロスでの清掃をおすすめしますが、その際は糸巻きタイプがおすすめです。
ホルダー付きのフロスは、歯と歯の間から外す際に、上に引き上げて外しますが、その際に補綴物に上へ引っ張られる力が加わることになります。
補綴物は、咬む力への方向、つまり、押される力には強いのですが、上へ引っ張られる力には弱いのです。
毎日ホルダー付きのフロスを使用することによって、補綴物が外れてしまうリスクが出てきてしまいます。
そのため、糸巻き状のフロスを用いて、フロスを外す際には片方を離して横から引き抜くようにしましょう。
一度虫歯になった歯は、再び虫歯になりやすいので、気を付けて清掃しましょう。
それによって、補綴物の寿命も延ばすことができます。

3-4. お子さんの仕上げ磨き
お子さんの仕上げ磨きを歯ブラシだけで行っていませんか。
仕上げ磨きにもフロスを使用することで、お掃除がぐんとしやすくなります。
お子さんの仕上げ磨きには、小児用のホルダー付きフロスをおすすめします。
大人用よりも小さいので、お子さんのお口の中でも動かしやすく、虫歯になりやすい歯と歯の間を効率的にお掃除することができます。
最初は歯ブラシとデンタルフロスの両方を使うのが面倒に感じるかもしれませんが、慣れてくると歯ブラシのみの清掃よりもお掃除がしやすくなるかと思いますよ。

4.まとめ
・ デンタルフロスは、歯と歯の接している部分や、狭いすき間の清掃に便利。
・ 歯間ブラシは歯と歯の間の広いすき間の清掃に適している。
・ 歯周病の進行が認められる時は、歯間ブラシが最適。汚れを除去するのと同時に歯肉のマッサージ効果も期待できる。
・ 歯並びが重なっている部分や、すき間が小さい部分には、デンタルフロスがおすすめ。フロスを外す時は、片方を離して横から引き抜くようにするのがポイント。
・ 詰め物、被せ物が入っている部分は、歯間ブラシがおすすめ。
歯間ブラシでこまめにお掃除することによって、二次う蝕を防ぎ、補綴物を長持ちさせることができる。
・ 子供の仕上げ磨きには、小児用ホルダータイプのフロスがおすすめ。

お口の中の状態は、人それぞれ全く異なります。
また、時間の経過とともに、お口の中も変化していきます。
今現在のお口の中の清掃に必要なのは、何なのか。
また、部位ごとに、どのように清掃していけば良いのかなど、一度歯科医院でチェックしてみてはいかがでしょうか。

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投稿者: 柏木歯科医院

2023.05.05更新

 

こんにちは
歯周病は虫歯と並び、多くの方を悩ませる病気です。
なにしろ進行すると、歯を失いかねないので、歯周病は歯の健康の大敵です。
歯周病はどうして起こるのでしょうか。
今回は、歯周病の原因についてお話しします。
歯周病の原因
まず、歯周病の原因についてご説明します。
歯周病菌
歯周病は、歯周病菌という細菌が引き起こす病気です。
歯周病菌というと一種類しかいないように思われるかもしれませんが、なんと何百種類もいます。
ただ、全ての歯周病菌が等しく歯周病を発症させるのかというとそうではありません。
特に歯周病の発症に関係していると考えられているのが、フォルフィロモナス・ジンジバリス(P.g.菌)、トレポネーマ・デンティコラ(T.g.菌)、タンネレラ・フォーサイセンシス(T.f.菌)の3種です。
この3種類の歯周病菌を合わせてレッド・コンプレックスとよんでいます。
この次に歯周病に関係性の強い歯周病菌はオレンジ・コンプレックスといい、10種類あります。
プラーク
歯周病菌に限らず細菌はミクロの世界に生きているので、前述の歯周病菌を肉眼で見ることはできません。
しかし、歯周病菌が集まって作られたコロニーは見ることができます。
それは、プラークです。
プラークは、歯の表面についている白いカスのようなもののことなのですが、実は歯周病菌や虫歯菌などのすみかであることが明らかになっています。
プラーク1mgの中にはなんと10億個以上の細菌がいると言われています。
プラークがたくさんついている=歯周病菌がたくさんいるという見方ができます。
プラークも、歯周病の原因のひとつというわけですね。
歯周病を発症させるきっかけ
実は、歯周病菌がいるだけでは歯周病は発症しません。
歯周病を発症させるきっかけが必要です。
深い歯周ポケット
歯周ポケットとは、歯と歯肉の間の溝のことで、歯周病菌は、歯周ポケットの中にいます。
歯周ポケットの内部は酸素が少なく、酸素の豊富な環境を嫌がる歯周病菌にとって格好のすみかになっています。
歯周ポケットが深くなればなるほど、酸素が乏しくなる上、歯ブラシの毛先も届きにくくなります。
このため、深くなった歯周ポケットの中では歯周病菌が増えやすくなり、歯周病が進みやすくなります。
プラークリテンションファクター
プラークリテンションファクターとは、プラークがたまりやすい環境、プラークコントロールを邪魔してしまう要素という意味の言葉です。
プラークリテンションファクターは、歯周病の原因であるプラークを増やすことで、歯周病菌を増やし、歯周病の進行を促進させます。
プラークリテンションファクターは、非常に多岐にわたります。
例えば、歯石です。
歯石は、プラークが古くなって石のように硬くなった歯の表面の付着物です。
とても強く歯にこびりついているので、歯磨きでは取り除けません。
歯石の表面はとても凸凹としており、プラークが付着する温床となります。
このほか、歯並びの悪さ、歯にフィットしていない被せ物や詰め物、歯の形の異常、虫歯などもプラークリテンションファクターです。
外傷性咬合
外傷性咬合とは、歯肉や歯槽骨など歯を支える歯周組織に悪影響を与える可能性が高い噛み合わせのことです。
具体的には、噛み合わせの高さがよくない被せ物や詰め物、歯ぎしり、食いしばりなどです。
外傷性咬合を放置していると、歯周組織がダメージを受けることで歯周病が進行します。
なお、外傷性咬合と似た言葉に咬合性外傷があります。
こちらは、歯槽骨の吸収など歯周組織のダメージを指します。
見方を変えれば、外傷性咬合は歯周病を起こす原因、咬合性外傷は歯周病の結果といえます。
全身的因子
歯周病は、歯周病菌という細菌が引き起こす病気です。
このような病原性を持つ細菌に対して私たちの身体には免疫力が作用し、身体を守る仕組みになっています。
免疫力がしっかり働いていてくれれば、歯周病菌の活動を抑えることができます。
ところが、疲れや睡眠不足などにより免疫力が低下すると、歯周病菌の活動を抑えられなくなり、歯周病が進行しやすくなります。
このほか、糖尿病やホルモン異常などの病気も歯周病のきっかけとなり得ます。
不適切な生活習慣
日常生活の何気ない習慣の中にも歯周病のきっかけは潜んでいます。
例えば、タバコ、口呼吸、不規則な食生活などです。
特にタバコの影響は大きく、喫煙者は非喫煙者と比べると歯周病のリスクが2~8倍になる上、いったん発症した歯周病の治りを悪くしてしまいます。
まとめ
今回は、歯周病の原因についてご説明しました。
歯周病の原因は、
①歯周病菌
②歯周病菌が潜んでいるプラーク
です。
そして、歯周病には発症するきっかけが必要で、それは
①深い歯周ポケット
②プラークリテンションファクター
③外傷性咬合
④全身的因子
⑤不適切な生活習慣
などです。
お口の中から歯周病菌を完全に無くしてしまうことはできませんが、プラークや歯周病のきっかけをなくすことはできます。
歯周病予防では、プラークや歯周病発症のきっかけをなくすことを重視して予防に取り組みます。
当院は、歯周病の専門的な知識に加え、長年にわたる豊富な治療経験を持つ歯科医院です。
もし、歯周病でお悩みの方は、ぜひ当院でご相談ください。

投稿者: 柏木歯科医院

2023.04.28更新

 

こんにちは
動物によって歯の数が違うのはご存知ですか?
実は、ヒトの歯は中でもかなり少ない部類に入ります。
人類は万物の霊長として、進化の頂点にいるとされているのに、歯の数が少ないのは意外に思われませんか?
そこで今回は、動物の歯の数について哺乳類を中心にお話ししようと思います。

歯の種類
歯には、切歯・犬歯・小臼歯・大臼歯の4種類があります。
切歯は、最も前にある歯で、食べ物をお口の中に取り込む役割を有しています。
犬歯は、切歯の後ろの歯で、獲物を捕らえる役割を担っています。
小臼歯は、犬歯の後ろの歯で、食べ物をすりつぶしたり噛み砕いたりします。
大臼歯は、小臼歯の後ろにある歯で、食べ物をより小さくすりつぶしたり、噛み砕いたりできます。
切歯と犬歯が前歯で、小臼歯と大臼歯が奥歯です。
なお、動物の世界では、小臼歯を前臼歯、大臼歯を後臼歯という呼び方をすることもあります。

ヒトの歯の数
まず最初にヒトの歯の数についてお話しします。

ヒトの歯の数
ヒトの永久歯は、切歯2本、犬歯1本、小臼歯2本、大臼歯3本が上下左右にあり、合計32本になります。
親知らずを含んでこの数ですので、親知らずを省くと28本です。
乳歯は、乳切歯2本、乳犬歯1本、乳臼歯2本の組み合わせで上下左右にあり、合計20本です。

類人猿の歯の数
ヒトに最も近い動物が、チンパンジーやオランウータンなどの類人猿です。
類人猿の歯は、切歯2本、犬歯1本、小臼歯3本、大臼歯3本という組み合わせがほとんどです。
小臼歯の数がヒトより1本多い3本ですね。
大臼歯の数はヒトも類人猿も3本ですが、ヒトの大臼歯は親知らずとして知られている第三大臼歯の退化傾向が著明なので、いずれは小臼歯と同じく2本になりそうです。

ヒト以外の哺乳類の歯の数
次にヒト以外の哺乳類の歯の数を、見てみましょう。

草食動物
草食動物の歯は、植物をすり潰しやすいような形をしています。
多いのが、切歯0~2本、犬歯0~1本、小臼歯3本、大臼歯3本というパターンで、歯の数は上下左右合わせて30本前後です。
草食動物の歯の特徴は、切歯が強く発達し、植物をすり潰しやすいような凹凸の少ない臼歯が24本ほどととても多いという点です。
馬のオスには犬歯がありますが、馬のメスには犬歯はありません。
うさぎやネズミにも犬歯はありません。
草食動物には犬歯はあまり必要ないようですね。

肉食動物
肉食動物の歯は、苦労して捕らえた獲物が逃げないようにしっかり噛み付ける形をしています。
多いのは、切歯3本、犬歯1本、小臼歯3本、大臼歯1本の組み合わせで、上下左右合わせて30本前後です。
肉食動物の歯の特徴は、犬歯が大きく発達しているという点と、臼歯が肉を噛みやすいように凸凹と尖った形になっている点です。
歯の本数を見てみても、草食動物より臼歯、特に大臼歯の数が少なくなっています。
雑食動物
雑食動物、つまり肉も植物も食べる動物の歯は、草食動物と肉食動物の中間のような形をしています。
多いのは、切歯3本、犬歯1本、小臼歯4本、大臼歯2~3本の組み合わせで、上下左右合わせて40本前後です。
犬歯は肉食動物ほどの大きさではありませんが、臼歯は草食動物のように平らではなく、肉食動物のような凹凸のある形をしています。

鳥類の歯の数
鳥はくちばしはありますが、歯はありません。
鳥の先祖である恐竜には歯がありましたし、始祖鳥にも歯はありましたから、進化の過程で歯を無くしたことになります。
歯を無くした理由はよくわかっていません。
顎と歯を備えると頭部が重くなりすぎて飛べなくなるのでは、という説もありますし、歯が出来上がるまでには時間も栄養もとられるので、時間と栄養を節約するためという説もあります。
答えはまだ明らかになっていません。

哺乳類とそのほかの動物の歯の比較
哺乳類とそのほかの動物の歯を比べてみましょう。
生え変わる回数
哺乳類の歯は、乳歯と永久歯の2種類しかないので、生え変わる回数は生涯1回だけです。
爬虫類の歯は、一生涯の間に何回も生え変わります。
なお、クジラは哺乳類ですが、歯がないヒゲクジラというクジラもいます。

歯の形
哺乳類の歯は、機能に応じて切歯・犬歯・小臼歯・大臼歯の4種類あります。
爬虫類の歯は、形に違いがほとんどなく、ほぼ全て円錐形です。
歯の生え方
哺乳類の歯は、歯根が顎の骨に埋まっていて、しっかりしています。
爬虫類の歯は、顎の表面部分に歯が直接ついているような感じに生えています。
生え変わるときには、表面が骨折するような状態になり歯が抜ける仕組みになっています。

まとめ
今回は、ヒトと動物の歯の数の違いについてご紹介しました。
哺乳類の歯は、草食動物と肉食動物ではおおむね30本くらい、雑食動物で40本くらいです。
草食動物では繊維質の植物をすりつぶすために大臼歯が発達し、肉食動物では獲物を逃さないために犬歯が発達するなど、食べ物の種類に応じた歯が生えています。
雑食動物は、植物も肉もどちらも効率よく食べるために、歯の数が多くなっていると思われます。
ヒトも雑食動物ですが、歯の本数は28~32本と雑食動物の仲間としてはかなり少なくなっています。
これはヒトだけでなく、ヒトに近い類人猿全体に見られる傾向です。
ヒトの歯の数はその中でもさらに少なく、進化の過程で歯が減っています。
また、哺乳類以外の動物では、爬虫類の歯は顎の上に直接くっついており、形も円錐形と単純で、何度も生え変わります。
哺乳類は、人と同じく、顎の骨の中に歯根があり、爬虫類以上にしっかりしています。
歯の形も複雑な上、生え変わる回数も1回だけです。
歯も進化と共に、より効率よくしっかり噛めるように変化していることがわかりますね。

投稿者: 柏木歯科医院

2023.04.21更新


歯科医院に関する話題でよく聞かれるものの一つに、「治療中、水が口の中に溜まるのが苦手」というのがあります。

理由は、水が喉に流れてむせてしまったり、また溺れたように息苦しく感じてしまったりすることによります。

中にはパニックになってしまい歯科治療が続けられない、という方もいらっしゃいます。

このように、治療中に溜まる水がどうしても苦手な場合、歯医者に行くのが毎回不安になったり、億劫になったりしている方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、そういった方に向けて、安心して歯科治療を受けるどういったことを意識すればいいのか、お伝えしていこうと思います。

また一方で、上記のような患者様が来院された場合、歯科医院のスタッフ側も配慮して行う対応方法というのがあります。

実際に歯科医院側が患者様へどのような対応を取るのか、というのも予め知っていただくと、より不安感が軽減され歯科治療を受けられると思いますので、是非参考になさってみて下さい。

落ち着いて歯科治療を受けるために
なるべくリラックスして歯科治療を受けるために、意識しておくとよいポイントをいくつかご紹介していきます。

鼻呼吸・腹式呼吸を意識する
治療中はバキュームという器械でお水を吸いながら処置を行いますが、それでも多少の唾液やお水は喉に溜まってしまうことがあります。

その際「息ができない」と感じる方は、「口呼吸」になっている可能性が高いです。

この口呼吸のまま治療すると、どうしてもお水で気道がふさがれ、むせたり、溺れるような状態に陥ってしまいます。

ですので、歯科治療中は必ず鼻呼吸をするように意識して下さい。

腹式呼吸を意識するとより鼻呼吸がしやすくなります。

一方で、鼻炎やなんらかの鼻疾患がある方は、常に口呼吸になっていることが考えられるので、そちらの治療からしっかり行う必要があります。

歯科医師に水が苦手な旨を予め伝えておく
治療を受ける前に、予め歯科医師に治療中のお水が苦手であることを伝えておくことをおすすめします。

この後の項目でもお話しますが、歯科医師をはじめ、治療に携わるスタッフ側も、予め患者様の治療における不安点を知っておくと対応がスムーズにできます。辛い時は我慢せずに伝える

治療が進んでいく中で、苦しくなってきたり、辛くなってきたりしても、我慢される方がいらっしゃいます。

ただ、その我慢も耐えられなくなり、歯を削っている途中などに急に咳き込んでしまったり、顔を動かしてしまったりすると、器具が口腔内の粘膜にあたり傷つけてしまうことがあり、非常に危険です。

中には今進めている治療を中断させてしまうかも、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、何より安全に治療を進めることが大切なので、是非遠慮せずに歯科医師に知らせるようにしましょう。

歯科医院が治療中のお水が苦手な方に行う対応
上記でお伝えしたように、歯科治療中のお水が苦手な方には、歯科医院でも無理なく治療が進められるような対応を取っていきます。

以下に、よく行われる対応についてご紹介していきます。

①排唾管を入れる
片側の口角に、U字型に折り曲げて引っ掛けて使用する細いバキュームです。

「排唾管」と呼ばれ、口角に引っ掛けて設置しておくと持続的に唾液やお水を吸うことができます。

バキュームと併せて使用することで、口の中にお水が溜まっていくのをより防ぐことができます。

②顔を横に向ける
正面を向いたまま仰向けになっていると、お水がそのまま垂直に喉、気道の方に流れてしまうといった誤嚥のリスクがあります。

お水をお口に溜めておける方であれば大丈夫ですが、今回のように少し不安がある方については、なるべくお水が喉に流れこまないように、顔を横に向けるようにしながら処置を行うなどの対応をすることがあります。

③チェアを少し起こす

こちらの対応も、顔を横に向けるという対応と同じ目的です。

完全にチェアを水平に倒さずに、少し上体を起こした状態で治療することで、少しでもお水が溜待ってきた時の誤嚥を防ぐことができます。

④こまめに休憩をはさむ
息苦しさや、不安感を軽減させながら治療を進めるために、やや多めにお口を閉じるタイミングを取り、休憩できるような対応を取ります。

休憩がこまめにあるとわかるだけで、患者様も安心できることが多く、結果的にスムーズに治療が進みます。

歯科治療が苦手にならないために
ここまで、患者様に意識していただきたいこと、一方で、歯科医院ではどういった対応をとっているのか、についてお話ししてきましたがいかがでしたでしょうか。

歯科では歯を削ったり、付着している汚れや歯石を除去するために歯科専用の器械を使用しますが、その際にお水を一緒に使うシーンが多くあります。

お水が使われるのは、歯と器具の間で発生する熱を冷まし、歯へのダメージを防止する目的があります。

ですので、歯科ではお水無しに治療をするということはほぼなく、治療中のお水が苦手な方にとっては歯科治療自体が苦痛に感じてしまうかもしれません。

ただ、今回お話ししたように、患者様ご本人だけでなく、歯科医院においても対応できることが多くあります。

是非今回の記事を参考にしていただき、少しでも安心して歯科治療に臨んでいただければと思います。

 

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投稿者: 柏木歯科医院

2023.04.14更新

ありふれた治療である根管治療が難しい理由

こんにちは

むし歯が奥深くまで進んだ歯や、歯の根の先に膿がたまった歯には根管治療という歯の根の治療が行われます。
根管治療自体はよく行われる治療なのですが、実はとても難しい治療です。
根管治療を受けていても、症状が改善しない、もしくは繰り返してしまうという方も珍しくありません。
一般的によく行われている治療なのに根管治療が難しい理由はどこにあるのでしょうか。
今回は、根管治療が難しい治療とされる理由についてお話しします。

<h2>根管治療について</h2>
根管とは、歯の根の内部にある歯髄という歯の神経や血管が治っているところです。
根管治療は、この歯の根の中にある根管への治療のことです。
根管治療には、歯髄が生きている場合に行われる抜髄や、歯髄が死んでしまっている、もしくは歯髄がすでに取り除かれている歯に行われる感染根管治療などがあります。

<h3>根管治療が目指すもの</h3>
根管治療は、根管内部を消毒して細菌を完全に取り除き、根管内部に細菌が入り込まないようにする治療です。
歯の内部の無菌化が根管治療の目指すところといえます。

<h3>根管治療の方法</h3>
歯の内部を無菌化するために、根管内に残された歯髄組織などの有機物を除去すると同時に、根管の壁に入り込んだ細菌などをかき出します。
そして、歯の内部を隅々まで消毒して、根管内部を埋める根管充填という処置を行います。

<h2>根管治療が難しい理由</h2>
根管治療の方法を読むと簡単そうに思われるかもしれませんが、根管治療は難しい治療です。
その理由をご説明します。

<h3>全ての根管が見えるわけではない</h3>
歯のレントゲン写真を撮影すると、根管が黒く写し出されます。
一見するとこれが根管のすべてに思われるのですが、そうではありません。
レントゲン写真に写っている根管以外に、側枝という細かく枝分かれした部分が無数にあります。
側枝はあまりにも細いので、レントゲン写真の解像度では写し出せないのです。
見えないところは処置することができないので、見えない根管の存在が根管治療を難しくします。

<h3>側枝の治療は難しい</h3>
側枝はとても細いですが、細菌から見ると細菌が入り込むには十分なサイズです。
側枝の中で細菌が増えた場合、そこも治療しなければならないのですが、レントゲン写真にも写らないほどの細さなので、消毒することはとても困難です。
側枝の消毒が難しいと根管治療の目的である根管の無菌化も難しくなります。

<h3>根管が真っ直ぐとは限らない</h3>
側枝だけでなく、レントゲンに写る根管にも根管治療を難しくする要因があります。
それは根管の形です。
歯の根の形は真っ直ぐな直線をイメージされる方が多いのですが、意外と根が曲がっていることも多いものです。
根の先は先に行けば行くほど細くなりますので、細い先の部分が曲がっていると、治療に使う器具を入れることが難しくなります。
器具を入れることが難しくなれば、根管内部の掃除も難しくなりますから、根管治療を困難にします。

<h3>根管治療は手探り</h3>
お口を大きく開けてもらっても、実は根管を直接見ることはできません。
あくまでも入り口が見えるだけです。
入り口から針の方に細い器具を根管内部に入れて、治療をしているのですが、ほとんど手探りといった状態で治療が進められます。
経験と感覚に頼った治療に近いので、こうした実情も根管治療が難しい理由のひとつです。

<h3>緊密な根管充填が難しい</h3>
根管内の無菌化ができたら根管を埋めて隙間をなくす根管充填を行います。
根管充填の際、隙間が残ると、細菌が繁殖する余地になってしまいますので、隙間がないように埋めなければなりません。
ところが、目に見えない側枝の部分や細く曲がった根の先の部分まで隙間なく埋めることはできませんので、側枝の部分にどうしても隙間が生じてしまいます。
この部分で細菌が繁殖する余地が生まれてしまいますので、治療の予後を難しくしてしまいます。

<h2>根管治療の予後が悪いと・・・</h2>
根管治療の経過が良くない場合の治療法は、どんなものがあるのでしょうか。

<h3>抜歯</h3>
抜歯すれば、根管という細菌感染の大元がなくなるので、歯肉の腫れや歯の痛みなどもなくなります。
もちろん抜歯すると歯そのものがなくなってしまいますので、できることなら根管治療で歯を治したいものです。

<h3>意図的再植術</h3>
意図的再植術は、抜歯して直視下で歯の処置を行い、抜いたところに再び歯を戻すという治療法です。
意図的再植術であれば、歯を直視して処置できますから、根管治療が難しかった場合でも、治しやすいです。
歯も残せます。
問題は、きれいに抜歯できるかという点です。
もし、歯を抜くときに歯の根が折れたり、ヒビが入ったりすれば、戻すことができなくなるからです。

<h2>まとめ</h2>
今回は、根管治療が難しい理由についてお話ししました。
根管治療は、歯科ではありふれた治療なのですが、
①全ての根管が見えるわけではない
②側枝の治療は難しい
③根管が真っ直ぐとは限らない
④根管治療は手探り
⑤緊密な根管充填が難しい
などの理由からとても困難な治療となっています。
当院では、ひとつひとつのステップを着実に進めることで困難な根管治療の予後を高めています。
歯の根の治療を受けたけれど違和感が残ったままになっている、歯の根の治療をしなければならないほどの大きなむし歯があるなどでお困りの方は、当院でぜひご相談ください。

 

投稿者: 柏木歯科医院

2023.04.07更新

歯やお口のトラブル予防には定期健診がおすすめ

こんにちは
歯科医院でむし歯の治療が終わった後や歯のクリーニングを受けた後に、定期健診に来てくださいと言われたことありませんか?

治療やクリーニングが終わったはずなのに、どうして定期的に歯科医院に通わなくてはならないんだろうと思った方もおられることでしょう。
確かに、痛みや腫れもないのに歯科医院を受診するというと、不思議に思われてもおかしくありません。
実は、むし歯や歯周病などの歯の病気を予防するためには、定期健診がとても大切です。

今回は、歯科医院での定期健診の内容や効果などについてお話しします。

<h2>歯科の定期健診</h2>
定期健診とよばずメンテナンスというところもありますが、意味するところは同じです。
定期健診はむし歯や歯周病にならないように、もしくは再発しないようにすることを目的としています。
この目的から、定期健診は予防歯科の一種ともいえそうです。

<h2>定期健診の内容</h2>
歯科の定期健診ではどのようなことをするのでしょうか。

<h3>問診</h3>
歯やお口の状態をチェックする前に、歯やお口のことで気になることの有無や、食生活や歯磨きの状況など日々の生活習慣についてお聞きします。

<h3>検査</h3>
むし歯や歯周病などのお口のトラブルがないかどうか検査します。
必要に応じてレントゲン写真を撮影することもあります。
また、日常の歯磨きがどれくらいきれいにできているのかを調べるために、プラークの残り具合を染め出して確認することもあります。

<h3>スケーリングとルートプレーニング</h3>
スケーリングとは、歯の表面についた歯石やプラークを取り除く処置です。
ルートプレーニングは、歯根の表面の歯石やプラークを取り除き、歯根の表面を滑らかにする処置です。
いずれも、プラーク(バイオフィルム)を取り除くと同時に、プラーク(バイオフィルム)が付着しにくくする、つまりプラークコントロールをよくするために行われます。

<h3>PMTC</h3>
PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略で、専門家による機械的歯面清掃と訳されています。
具体的には、歯科医師や歯科衛生士が電動歯ブラシのような器械を使って歯の表面をツルツルにします。
PMTCは、スケーリングやルートプレーニングの後に行います。
PMTCによりツルツルに磨かれた歯は、プラーク(バイオフィルム)がつきにくくなります。
そうです、PMTCもプラークコントロールを良くするために行われる処置です。

<h3>ブラッシング指導</h3>
プラークコントロールを確実にするために欠かせないのが、日常の歯磨きです。
歯の形、数、並び方、詰め物や被せ物の状態など、お口の状態は、みんな違います。
そのため、適した歯磨きの方法も、それぞれ異なります。
適切な歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどをご紹介すると同時に、それらの最適な使い方、つまりみなさんに合った歯磨きの方法をご説明します。
日常の歯磨きの効率を高めることで、プラーク(バイオフィルム)がつきにくくし、歯やお口の状態を健康に保てるようにします。

<h2>定期健診の効果</h2>
定期健診を受けると、次のような効果が得られます。

<h3>歯の病気の予防</h3>
ストレプトコッカス・ミュータンスという言葉を聞いたことありませんか?
これはむし歯の原因菌です。
歯周病も、やはり細菌が原因で起こります。
そう、むし歯や歯周病は、お口の中の細菌が原因で起こる病気です。
こうした歯の病気の原因菌たちは、歯の表面についているプラークの中に潜んでいます。
定期健診を受けて、プラーク(バイオフィルム)を取り除き、歯をきれいな状態にすると、むし歯や歯周病などの歯の病気のトラブルが予防できます。

<h3>歯の病気の早期発見</h3>
むし歯や歯周病は、歯が痛くなったり歯肉が腫れたりする病気です。
ところが、こうした症状が現れるのは、むし歯や歯周病がかなり進行してからです。
実は、むし歯や歯周病も、早い段階ではこのような自覚症状がないことがほとんどです。
定期健診を受けると、むし歯や歯周病などを痛みのない初期のうちに発見できます。

<h3>歯の病気の早期治療</h3>
定期健診を受けるとむし歯や歯周病などの歯の病気を早期発見できるので、進行する前に治療を受けることができます。
むし歯や歯周病は、進行すればするほど厄介なので、早い段階で治療を受けることができるので、歯の寿命も長くなります。

<h3>治療期間が短くなる</h3>
歯科医療というと、何週間、何ヶ月もかかるようなイメージがありませんか?
治療期間が長くなるのは、症状が進行してしまったからです。
例えば、神経にまで広がったむし歯があったとします。
詰め物や被せ物を外し、むし歯の部分を削り、神経の治療を行なって、神経の部分を埋めて、それからようやく被せ直せるわけですから、どうしても治療期間は長くなってしまいます。
定期健診で早期発見できると、早期治療ができるので治療期間も短くなります。
同時に、治療費も低く抑えられます。

<h2>まとめ</h2>
今回は、歯科での定期健診についてお話ししました。
歯の病気を予防するには、定期健診がとても大切です。
定期健診の利点は、歯の病気の予防だけではありません。
歯の病気の早期発見・早期治療により、歯の寿命を長くし、治療費や治療期間を抑えることもできます。
当院でも、歯の定期健診により、歯やお口の健康増進に努めています。
歯やお口の病気の予防を考えておられる方は、ぜひ当院の定期健診を受けてください。
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投稿者: 柏木歯科医院

2023.03.31更新

インプラントも歯周病になります!
歯は口の中に出ている部分を歯冠、歯肉を通じて顎の骨の中に埋まっている部分を歯根といいます。歯肉と歯根の境目の歯肉は歯にぴったりとくっ付いているわけではなく、2~3ミリ上部は、はがれていて隙間になっています。食後の歯磨き等の手入れが悪いと、歯周病菌が、この隙間に住み付いて、やがて歯肉炎、歯周病となって歯根を取り囲む顎の骨を溶かしていきます。これが歯周病です。
インプラントは人工歯根といわれるように、歯根の部分が金属製でできていて、それを顎の骨に埋め込むことによって成立つものです。
ですから、食後の歯磨き等の手入れを怠ると歯周病と同じようにインプラントを取り囲む骨が溶けてしまいます。これをインプラント周囲炎といいます。
歯根を取り囲む歯肉は、正常には上部2~3ミリははがれていますが
その直下は生理的にくっ付いていて歯周病菌を寄せ付けませんが、インプラントは歯肉とはくっ付きませんので、まともに歯周病菌の攻撃を受けやすいことになります。そのような意味では余計に手入れが大切になってきます。

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