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2023.08.25更新

みなさんの中に、下口唇に小さな水ぶくれができた、あるいは、水ぶくれが出来るのを繰り返しており困っている、という方はいらっしゃいませんか?

もしかしたらそれは、”粘液嚢胞”と呼ばれるものかもしれません。

お口にできる水ぶくれという症状には、その大きさやそれに痛みを伴うかどうかなどによって関係している病気や原因が変わってきます。

そんな中でも、日常的によく遭遇するのが良性疾患である「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」です。

今回は、この「粘液嚢胞」について、その特徴や治療方法等を詳しくお話していこうと思います。

<h2>粘液嚢胞とは?</h2>
嚢胞(のうほう)とは、体の分泌液が袋状に貯留する状態をいいますが、粘液嚢胞の場合、唾液が袋状になって貯留している状態です。

そもそも、口腔内には、「唾液腺」とよばれる唾液を分泌する組織があり、大唾液腺と小唾液腺に分けられます。

大唾液腺は耳下腺、舌下腺、顎下腺といった大きめの唾液腺、小唾液腺は口腔粘膜に存在する無数の小さい唾液腺です。

粘液嚢胞については、小唾液腺から出ている管が傷ついたことによって、管が詰まったり唾液が漏れたりして、結果的に唾液が袋状に貯留した状態を表します。

<h3>症状</h3>
見た目は直径5㎜程、透明な半ドーム状で、比較的表面に近いところにできた嚢胞は薄紫色に、深いところに位置する嚢胞は少しピンクがかった色になっています。

特に痛みやしびれなどの自覚症状はなく、気づいたらできていた、というケースが多いです。

ただ一方で、水ぶくれ以外にも痛みや赤みがあるなど、他の症状がある場合は、粘液嚢胞とは異なる病状として違う疾患を疑います。

<h3>好発年齢、好発部位</h3>
小唾液腺が存在する場所には、基本的にどこでも生じるものですが、好発部位としては「下口唇の粘膜」「舌の下、裏」があげられます。

また、好発年齢としては、子どもから成人まで均等に見られ、50代以降は少ないともいわれます。

<h2>粘液嚢胞ができる原因は?</h2>
先ほど、小唾液腺の管が傷つくことで、粘液嚢胞が生じるとお話ししました。

この小唾液腺が傷つく原因としては、食事中に下口唇や頬粘膜を誤って咬んでしまう、あるいはブラッシング中の歯ブラシや食べ物があたることなどがあげられます。

さらに、歯の被せもの、詰め物、また歯自体が欠けていると、その鋭利になった部分が粘膜に触れ、傷つくことが原因のこともあります。

<h2>「再発しやすい」「繰り返しやすい」のが大きな特徴</h2>
さらに、粘液嚢胞は、再発しやすい、繰り返す、というのが大きな特徴です。

上でお話したように、粘液嚢胞ができる部位は、粘膜の部分でどうしても傷つきやすい場所なので、簡単に袋が破けてしまいます。

その際、嚢胞は中の貯留腋である唾液が出ていくので一旦しぼんでいきます。

これで一見治ったと感じるのですが、唾液腺の導管自体は傷ついたままなので、数日後に再び嚢胞ができてきます。

こういった理由から、粘液嚢胞については、自然放置していてもなかなか完治しない、同じ症状を繰り返す、と言われています。

つまり、再発しやすいということです。

<h2>粘液嚢胞の治療方法は?</h2>
これまでの内容を踏まえ、粘液嚢胞の主な治療方法をご紹介していきます。

<h3>経過観察</h3>
粘液嚢胞が出来る場所によっては、普段のお食事やオーラルケアに支障がなく、生活に不自由がない場合があります。

この場合は、無理に触らずに経過観察で様子をみることがあります。

ただし、上でもお話ししたように、粘液嚢胞は繰り返しやすいという特徴があります。

本当に経過観察で問題ないのかどうかについては、かかりつけ医と相談する必要があります。

<h3>摘出術</h3>
外科的な治療法で、嚢胞とその周囲の傷ついた小唾液腺を一塊で摘出する方法です。

外科と聞くと少し敬遠される方もいるかもしれませんが、主に外来で局部麻酔を用いて行い、実際の処置時間はおよそ15分の小手術で比較的負担の少ない処置です。

術後は痛み止めなどを服用しながら経過観察し、1週間ほどで抜糸します。

この摘出術では原因そのものを取り除くので、再発リスクが抑えられます。

<h3>レーザー治療</h3>
こちらは摘出術と同様、局所的に麻酔を行いレーザー照射で粘液嚢胞を切除します。

レーザー治療は、メスを使用する摘出術と比べて、出血や術後の痛みが少ないというメリットがあります。

ただレーザー治療を行うかどうか、適応かどうかは、粘液嚢胞の範囲や大きさ、部位によるところがあり、歯科医師の診断が必要です。


<h2>お口の水ぶくれ、気になった方は早めに歯科医院で相談!</h2>
ここまで粘液嚢胞についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回紹介した粘液嚢胞の特徴などに、ご自身の症状が当てはまっているかも、と思われる方は歯科医院で診てもらいましょう。

良性なので今すぐに対応しなければならないことはありませんが、一度しっかりと原因を除去し治療することで再発を防ぐことができます。

また一方で、水ぶくれだけでなく痛みがある、出血がある、など他の症状もある場合、粘液嚢胞以外の他の疾患である可能性もあります。

その場合は粘液嚢胞とは異なる治療、服薬等も必要になってきます。

こういったことからも、くり返す水ぶくれがある方は、自己判断でそのまま放置せず、是非歯科医院を一度受診し、しっかりと診断をうけることをおすすめします。

投稿者: 柏木歯科医院

2023.08.21更新



<h2>歯ぐきの健康について</h2>
<h3>・歯ぐきの役割や構造</h3>
歯ぐきは、歯の周りの上皮(じょうひ)で、体の皮膚のような役割をもっています。つまり、体内への細菌の侵入を防いでいます。また、この歯ぐきと歯がしっかりと接していることで、歯と歯ぐきの境目からの細菌の侵入を防いでいます。そして歯ぐきは、歯を支える骨の表面に苔のように付着し、約2mm程度の厚みがあります。

<h3>・歯ぐきの炎症や感染症のリスク</h3>
歯ぐきは、豊富な毛細血管を持ち、非常に早い周期で歯ぐきの細胞は生まれ変わっているため、傷の治りも非常に早いです。しかし、歯ぐきにも炎症が起こることがあります。そして、最も炎症が起こりやすい場所は歯と歯ぐきの境目です。この歯と歯ぐきの境目を歯周ポケットと呼んでいます。そして、この歯周ポケットに起こる炎症を歯周病と言います。通常、歯周ポケットはしっかりと接し、汚れなどが入ることはありませんが、歯垢などが長時間放置されると、歯垢の中の細菌から毒素が産生され、これが歯周ポケットに溜まることで、その周りの歯ぐきや骨を壊していきます。

<h3>・歯ぐきの健康が全身の健康にも関わる理由</h3>
近年、歯周病と全身疾患の間に色々な関係があることが分かってきました。代表的なものとして、歯周病が存在する場合、糖尿病が悪化する可能性が高まると言われています。それ以外にも、歯周病と認知症に関係があることが示されています。逆に歯周病をしっかり治療することで、糖尿病や認知症が改善する可能性があります。
さらに、歯周病がある妊婦の場合には、胎児が早産となるリスクも指摘されています。このようなことから、現在は妊婦健診に歯周病の検査が含まれるようになっています。

<h2>健康的な歯ぐきの維持方法</h2>
<h3>・適切な歯磨きとフロスの使い方</h3>
適切な歯磨きに必要なのは、適切な歯ブラシです。通常の歯磨きであれば、毛先は硬い物でも柔らかいものでもなく、標準的な硬さのものを推奨します。また、歯ブラシの毛先の形にはいくつかの種類がありますが、大きな違いはありません。使いやすいものを選んでください。歯ブラシの持ち方は、持ちやすい方法で構いませんが、あまり力が入りすぎないように注意が必要です。そして、歯ブラシは細かく動かすことがポイントです。細かく、歯を一本ずつ磨くようにすると、歯と歯ぐきの間や、歯と歯の間の細かいところにも毛先が入ります。
フロスは、歯と歯の接触部の汚れを取るための器具です。歯と歯の間に一度通してあげれば十分です。その際に強く押し込み過ぎて、歯ぐきを傷つけないように注意してください。
加齢変化で歯ぐきが痩せてきた時には、歯間ブラシの利用を検討しましょう。若いときは通らなかった歯間ブラシも、徐々に通るようになってきます。

<h3>・歯ぐきを傷つけるタバコやアルコールの影響</h3>
タバコは、口の中を低酸素状態にするため、歯ぐきの血流が不良となり、虚血状態になります。その結果、歯ぐきの治癒力は低下し、歯周病などへの耐性も減弱します。タバコは歯周病の明らかなリスクファクターとされています。
アルコールは、耐性があるかどうかで歯周病への影響が変わります。そのため、アルコールに弱い人は、歯周病を悪化させるリスクが高くなります。また、アルコールに強くても、よって歯磨くきをせず寝てしまえば、当然歯周病のリスクは高まります。

<h3>・口内環境を整えるための食生活や生活習慣の改善</h3>
過度な食事や、頻回な間食は歯ぐきの健康にとって良くないだけでなく、肥満や糖尿病などの生活習慣病に対しても大きな影響を与えます。食事については、適切な量を規則的なリズムで続けることが大切です。またそれ以外にも、タバコもアルコールも、節度を持って嗜むことが大切です。
口呼吸の改善は、口腔内の乾燥を防ぎ、歯並びへの悪影響を緩和することができます。そのため、口呼吸から鼻呼吸への改善が必要です。しかし、アデノイドなどで鼻呼吸が困難な場合には、耳鼻科などで精査する必要があります。

<h2>歯ぐきの健康を維持するための歯科医院でのケア</h2>
<h3>・歯科医院での定期的なクリーニングや検診による予防方法の解説</h3>
歯科医院での定期的なクリーニングや検診のメリットは、う蝕や歯周病の早期発見と早期治療が可能になることです。また、通常の歯磨きでは取り除くことができない汚れを、超音波などの専用の器具を使用することで、除去することができます。さらに、歯磨きができてない部分を把握することもできます。このように定期検診で残った汚れを除去し、適切な歯磨きの指導を受けることで、より確実に歯周病を予防することができます。

<h3>・歯ぐきに異常が見つかった場合の適切な治療方法</h3>
歯ぐきが腫れていたり、歯磨きの時に容易に出血したりする場合には、歯科医院を受診し歯ぐきの状態を確認することが必要です。通常の歯周病であれば、検査をし、適切に治療を継続することで症状は落ち着き、歯周病の進行を抑制することができます。しかし、悪性腫瘍や自己免疫疾患でも歯ぐきが腫れたり出血したりすることがあります。そのため、もしも歯ぐきの異常が改善しない場合には、一度歯科医院で口の中の状態を確認することが大切です。

<h3>・歯科医院での歯ぐきの健康を維持するためのアドバイスやケア方法</h3>
歯ぐきの健康を維持するための最も簡便で効果的な方法は、歯磨きです。お口の健康のために、歯磨きを適切に行うことで、セルフコントロールが可能になります。ただし、歯磨きは思っているよりも難しいため、歯科医院を受診し歯科医師または歯科衛生士に適切な歯磨き方法を指導してもらうことが大切です。歯ぐきの健康を維持するため、是非歯科医院を受診したら、歯磨きの方法やポイントについて色々と質問しアドバイスを受けましょう。

<h2>まとめ</h2>
少しでも長く、美味しいものを味わって食べられるように、さらに美しく口元を保つためには適切な歯ぐきのケアが必要です。そして、歯ぐきのケアは日々の習慣が非常に重要です。ただし、自分で十分にケアができていると思っていても、気付かないうちに歯周病が進行していることもあります。健康な歯ぐきは、歯科医院と個人の二人三脚で維持していくことが必要です。

投稿者: 柏木歯科医院

2023.08.12更新


目次
・歯の構成
・むし歯の原因とむし歯ができる仕組み
細菌が糖を取り込み、酸を作り出し、歯の成分を溶かす
唾液が歯の酸を中和する
  脱灰と再石灰化のバランスが崩れると、むし歯ができる
・むし歯の進行段階
CO(シーオー)の症状・治療法
   歯の状態・自覚症状
C1(シーワン)の症状・治療法
   歯の状態・自覚症状
C2(シーツー)の症状・治療法
   歯の状態・自覚症状
C3(シースリー)の症状・治療法
   歯の状態・自覚症状
C4(シーフォー)の症状・治療法
   歯の状態・自覚症状
・まとめ

<h2>歯の構成</h2>
歯はエナメル質、象牙質、セメント質という3つの硬い組織とそれに囲まれた歯髄という歯の神経から出来ています。
①エナメル質は、歯の一番外側で白い色をしています。人の体の中で最も硬い組織です。無機質の含有率は95%です。その主成分はカルシウムです。
②象牙質はエナメル質とセメント質の下層にあります。硬く黄色い組織で、歯の大部分を占めます。無機質の含有率は約70%で、その主成分はカルシウムです。
③セメント質は、歯の根の外側を覆っています。歯肉の中にある色は黄色です。非常に薄いです。成分の70%がカルシウムです。セメント質は骨と同じくらいの硬さです。エナメル質と比べると柔らかいです。
④歯髄は歯の中央部にある歯髄腔と呼ばれる空間にある軟組織です。歯髄には、根尖孔と呼ばれる歯根先端から神経や血管が入ります。歯髄の機能は歯の形成、感覚の伝達、栄養の供給、防衛などです。

<h2>むし歯の原因とむし歯ができる仕組み</h2>

<h3>細菌が糖を取り込み、酸を作り出し、歯の成分を溶かす</h3>
歯の表面に付着した細菌が糖を分解し作り出した酸によって、歯の成分であるカルシウムやリンなどのミネラルが溶け出す現象を歯の脱灰といいます。歯の表面が白く濁ったり、茶色や黒色に変色します。脱灰が進むと、歯に穴が開いてむし歯になります。
脱灰を防ぐ為に、歯磨きを丁寧に行いましょう。歯ブラシや歯間ブラシ、フロスなどを使って、細菌の付着した歯垢を除去することが必要です。特に寝る前の歯磨きは念入りに行いましょう。フッ素入りの歯磨き粉やジェルを使いましょう。フッ素は、歯の再石灰化を促進し、歯を強くします。
ダラダラ食べ・飲みをしないようにしましょう。食事や間食をすると、口の中が一時的に酸性に傾き、脱灰が起こります。この時間を長くすると、再石灰化が追いつかなくなります。食事や間食は時間を決めて行いましょう。
脱灰が治らない場合は、歯科医院で治療を受ける必要があります。初期むし歯の場合は、フッ素塗布や薬剤注入などで再石灰化を促すことが出来ます。

<h3>唾液が歯の酸を中和する</h3>
脱灰の逆の現象が再石灰化です 。脱灰されたミネラルが唾液などから補給されて元に戻ることが再石灰化です 。再石灰化は、歯の自然修復のメカニズムとして重要な役割を果たします 。
再石灰化を促すために、歯磨きを丁寧に行いましょう。フッ素入りの歯磨き粉を使いましょう。フッ素は、再石灰化されたミネラルをより強固な物に変えます 。これにより、歯がむし歯に強くなります 。

<h3>脱灰と再石灰化のバランスが崩れると、むし歯ができる</h3>
唾液の分泌量を増やし、再石灰化を促しましょう。唾液は、酸性度を中和し、再石灰化を促します。キシリトールやリカルデント配合のガムを噛む事で、唾液の分泌量を増やすことが出来ます。
再石灰化は、初期むし歯の段階であれば自然に起こる現象ですが、進行したむし歯では追いつかなくなります。その場合は、歯科医院でむし歯治療を受ける必要があります。進行したむし歯の場合は、歯を削って詰め物や被せ物をすることで保護します。早めに受診して、歯の健康を守りましょう。

<h2>むし歯の進行段階</h2>

<h3> CO(シーオー)の症状・治療法</h3>
COは、むし歯の進行度を表す指標の一つです。要観察歯と呼ばれます。COは、エナメル質の成分が溶け出す現象である脱灰が疑われる段階です。この段階では、むし歯の穴はまだ開いていないため、治療をしなくても自然に治る可能性があります。

<h4>歯の状態・自覚症状・治療法</h4>
この段階では、歯は白っぽく濁ります。脱灰によってエナメル質が透明度を失い、白く濁ったり、白斑(はくはん)と呼ばれる白い斑点ができたりします。
COでは、神経が通っている象牙質や歯髄にまでむし歯が進行していないため、痛みやしみる感覚はありません。
COの歯を放置すると、むし歯は更に進行してエナメル質を突き抜けて象牙質に達し、C1(初期むし歯)になります。治療はフッ素塗布や薬剤注入を行います。

<h3> C1(シーワン)の症状・治療法</h3>
C1は、歯の表面にあるエナメル質が溶け始めて穴が開いている状態のむし歯です。

<h4>歯の状態・自覚症状・治療法</h4>
この段階では、痛みやしみるといった自覚症状はほとんどありませんが、放置するとむし歯は進行してしまいます。
C1のむし歯の治療法は、歯科医院でむし歯部分を削って詰め物をします。詰め物は白いプラスチック(レジン)や金属などの素材で行われます。
C1のむし歯は初期段階ですが、放置せずに早めに対処しましょう。そうすることで、重度のむし歯や神経治療などを避けることが出来ます。

<h3> C2(シーツー)の症状・治療法</h3>
C2は、エナメル質を溶かして内部の象牙質にまでむし歯が進行した状態です。

<h4>歯の状態・自覚症状・治療法</h4>
この段階では、痛みやしみるといった自覚症状が出始めますが、神経にはまだ影響がないため、神経を取る必要はありません。
C2のむし歯の治療法は、むし歯部分を削って詰め物や被せ物をします。詰め物や被せ物には、金属・レジン・セラミックがあります。
治療しないと、むし歯は更に進行し神経まで達し、激しい痛みが出ます。C2から先のむし歯への進行は一気に加速します。その為、早めに治療することが重要です。

<h3> C3(シースリー)の症状・治療法</h3>
C3は、歯の神経や血管がある歯髄までむし歯が進行した状態です。

<h4>歯の状態・自覚症状・治療法</h4>
この段階では、常にズキズキとした激しい痛みを感じたり、熱いものや冷たいものがしみたりする自覚症状があります。また、むし歯の部分が黒くなったり、口臭が出たりする事もあります。
C3のむし歯の治療法は、むし歯部分を削って神経や血管を除去する根管治療を行います。その後、詰め物や被せ物で歯を修復します。
C3のむし歯は重度ですが、根管治療で対処することで、更なる悪化や抜歯を避けることが出来ます。

<h3> C4(シーフォー)の症状・治療法</h3>
C4は、歯の頭の部分(歯冠部)がなくなり根だけ残った状態です。

<h4>歯の状態・自覚症状</h4>
この段階では、歯髄(歯の神経)が完全に蝕まれているので、歯の症状は消失します。しかし、顎の骨の中にある歯根の先に膿が溜まったり、むし歯の部分が黒くなったり、口臭が出たりします。
C4のむし歯の治療法は、抜歯するか、土台を作って被せ物をするかです。抜歯する場合は、その後に入れ歯・ブリッジ・インプラントなどで歯を補う必要があります。土台を作って被せ物をする場合は、根管治療を行ってから、プラスチック・金属・セラミックなどで歯を被せます。
進行すると、膿があふれて顔面腫れや高熱など重篤な合併症を引き起こす事があります。

<h2>まとめ</h2>
むし歯が出来てしまってもCOなら経過観察できます。CO、C1、C2と小さなむし歯治療ですむように日頃から定期的に歯科医院で検診を受けて、自分の歯の状態を把握することがお勧めです。

投稿者: 柏木歯科医院

2023.08.04更新


<h2>おやつで、栄養を補う</h2>
私達は毎日3回の食事を摂っています。それだけでは体に必要な栄養素を十分に摂れているとは限りません。そこで役立つのがおやつです。おやつは、食事では不足しがちな栄養素を補う為に摂ります。しかし、おやつは必ずしも毎日食べる必要はありません。食事の時間や量に影響しないように注意する必要があります。
では、どのようなおやつをどれくらい食べたらよいのでしょうか。一般的に言われている目安は、1日のエネルギー摂取量の10%程度(約200kcal)です。それ以上摂ってしまうと、食事が疎かになってしまったり、エネルギー摂取量が多くなり過ぎたりする可能性があります。また、おやつの質も重要です。食事で不足しがちなタンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを含むものを選ぶことがお勧めです。例えば、乳製品、卵、大豆製品、果物、野菜などが良いでしょう。これらの食品は、体を作るタンパク質や、免疫力を高めるビタミン、骨や歯を丈夫にするミネラル、便秘を防ぐ食物繊維などを豊富に含んでいます。
おやつは食事に比べて美味しさを重視してしまいがちですが、量と質を考えて上手に活用することで、バランスのとれた食生活が可能になります。また、適度な運動や水分補給も忘れずに行うことが大切です。おやつは栄養を補う食事のひとつとして、健康的な生活の一部として楽しみましょう。

<h2>むし歯の始まり(脱灰)、再石灰化</h2>
むし歯の始まりとは、歯の表面にあるエナメル質が溶け始める事です。これを脱灰といいます。脱灰の原因は、食べ物や飲み物に含まれる糖分を口の中のむし歯菌が酸に変える事です。酸はエナメル質を構成するカルシウムやリン酸を溶かしてしまいます。この状態が続くと、エナメル質に穴が開いてむし歯になってしまいます。
しかし、脱灰したエナメル質は、自然に修復する事が出来ます。これを再石灰化といいます。再石灰化とは、唾液に含まれるカルシウムやリン酸がエナメル質に戻って固まる事です。唾液は、口の中の酸を中和して歯を守る働きもします。再石灰化は食後1時間程で起こります。進行したむし歯は自然治癒しません。再石灰化により初期のむし歯は修復する効果があります。再石灰化を促進するためには、毎食後に歯磨きをしてプラークを除去したり、カルシウムやタンパク質を含む食べ物を摂ったりすることが有効です。また、定期的に歯科医院でフッ素コーティングやクリーニングを受けることもお勧めです。


<h2>おやつの食べ方</h2>
<h3>時間と量を決める</h3>
おやつを食べるときには、時間・量を決めることが大切です。おやつは食事の補助として、栄養バランスやエネルギー補給に役立つからです。おやつを食べる時間は、昼食と夕食の間、午後3時頃が理想的です。この時間は、食事と食事の間隔が4~5時間になり、おなかが減って来る時です。午後3時頃は体内時計のコントロールが良く、脂肪として溜め込みにくい時間帯でもあります。
おやつの量は、1日に必要な総エネルギーの約10%位が目安です。一般的に間食のカロリーは約200kcal程度が適切と言われています。おやつの量を決めるときには、市販のお菓子の栄養成分表示を参考にしましょう。

<h3>飲料は甘くないものに</h3>
おやつの飲料は甘くないものにすることが大切です。お勧めは、果物ジュースです。果物ジュースはビタミンや食物繊維などの栄養素が豊富で、風味も良いです。市販の果物ジュースは砂糖が多く含まれているので、手作りするか無糖のものを選びましょう。またお茶もお勧めです。お茶はカフェインやポリフェノールなどの成分が含まれており、リラックス効果や抗酸化効果があります。お茶は種類も豊富で、緑茶や紅茶、ハーブティーなどがあります。お茶は無糖で飲むのがお勧めですが、少量のはちみつやレモンを入れることもあります。

<h3>食後は歯磨きを</h3>
おやつの後に歯磨きをすることの重要性は、以下の3つが挙げられます。
①むし歯の予防。
おやつに含まれる砂糖は、口の中の細菌を分解して酸を作ります。この酸が歯を溶かしてむし歯になります。おやつの後に歯磨きをすることで、酸の作用を抑えてむし歯を予防できます。
②歯垢の除去。
おやつは、歯と歯茎の間や歯の溝等に残りやすく、細菌が増殖して歯垢になります。歯垢はむし歯だけでなく、歯周病の原因にもなります。おやつの後に歯磨きをする事で、歯垢を除去して口内を清潔に保てます。
③口臭の防止。
おやつに含まれる乳製品などは、口臭の原因となる物質を作り出します。おやつの後に歯磨きをすることで、口臭を防止できます。

 


<h2>むし歯になりやすいお菓子</h2>
砂糖量が多いおやつは、むし歯の原因になり易いので、控えめにしましょう。砂糖量が多いおやつの例としては、次のようなものがあります。
ケーキ・パイ・チョコレート・ジャム。これらのおやつは、砂糖量が多く、歯にくっつきやすいので、食べるときは一度に食べて、食べる時間を短くしましょう。長い時間、口の中にある飴やガムも要注意です。

<h2>むし歯になりにくいお菓子</h2>
むし歯になりにくいお菓子は、砂糖が少なく、歯に付着しにくく、口の中に長く残らないものです。例えば、ゼリーやプリンやアイスクリームや果物などが該当します。これらのお菓子は、水分が多くて粘性が低いため、歯にべったりと付着することがありません。また、むし歯になりにくい甘味料としては、糖アルコール類や非糖質性甘味料があります。糖アルコール類は、エリトリトールやマルチトールやキシリトールなどです。非糖質性甘味料は、ステビアやアスパルテームなどです。

<h2>まとめ</h2>
おやつは食事の補助として、栄養バランスやエネルギー補給に役立ちます。また、おやつの時間はコミュニケーションの時間としても有効です。おやつを食べるときには、ここでお話した事を参考にして頂き楽しく頂きましょう。

投稿者: 柏木歯科医院

2023.07.28更新

こんにちは

ヨーグルトのCMなどで、プロバイオティクスという言葉を耳にしたことありませんか?
プロバイオティクスというと、腸内環境を整えて、全身の状態を改善させますが、実は歯やお口の健康にも効果があります。
最近では、むし歯や歯周病の予防にもプロバイオティクスを導入しようとする向きも見られるようになりました。
今回は、むし歯や歯周病を予防し、歯やお口の健康を守るプロバイオティクスについてお話しします。
<h2>プロバイオティクスについて</h2>
まず、プロバイオティクスについてご説明します。
<h3>プロバイオティクスって何?</h3>
プロバイオティクスとは、実は細菌の名前です。
正しくは、腸内細菌のバランスを整えることのできる生きた細菌で、1989年にイギリスで提唱されました。
プロバイオティクスをたくさん含んだ食品をプロバイオティクス食品といい、ヨーグルトや納豆などが挙げられます。
なお、腸内細菌の餌になる成分を含む食品をプレバイオティクスといい、オリゴ糖が有名です。
細菌を直接供給するのがプロバイオティクス、腸内細菌の餌がプレバイオティスクというわけです。
<h3>プロバイオティクスの効果</h3>
プロバイオティクスの効果は、次の通りです。
①腸の健康を高める
ヒトの腸の中には、100兆もの細菌がいます。
腸の中の細菌は、仲間ごとに集まっていて、その集まりを腸内細菌叢と言います。
腸内細菌叢には、腸の中を健康にする善玉菌、逆の悪玉菌、そしてその中間とも言える日和見菌があります。
プロバイオティクスは、善玉菌を供給することで、腸内細菌叢の善玉菌を増やし、腸の健康を高めます。
②免疫力を高める
ヒトの身体の免疫細胞の60%以上は、実は腸の中にいます。
このため、腸の状態が免疫力に大きく関係しています。
腸が健康ですと全身の免疫力も上がりますが、不健康なら下がってしまいます。
プロバイオティクスには、腸内細菌叢を整え、腸の健康を改善する効果がありますので、それにともなって免疫力も高められます。
③アレルギーを予防する
アレルギーは、免疫細胞が過剰に反応することで起こります。
プロバイオティクスによる免疫力の改善は、アレルギー反応を予防し、アレルギー性の病気の症状を改善します。
④がんの発生を予防する
実は、がん細胞は、身体の各所で発生しています。
ところが、がんにならないのは、免疫細胞ががん細胞を捕食して無くしてしまうからです。
言い方を変えれば、がんになるのは免疫力がきちんと作用できなかったからともいえます。
プロバイオティクスには免疫力を高める効果がありますので、がんの予防効果も期待できます。
⑤動脈硬化の予防
プロバイオティクスには、血液中のコレステロールの改善作用もあります。
コレステロールが増えると、血管の壁が硬くなり、動脈硬化の原因となります。
プロバイオティクスの細菌にはコレステロールの吸着作用や、排泄作用があることが明らかになっています。
プロバイオティクスには、コレステロールの改善を通して動脈硬化を予防する作用もあります。
<h2>予防歯科とプロバイオティクス</h2>
腸内環境を整えるプロバイオティクスは、予防歯科にも深い関係性を持っています。
<h3>歯やお口にはL.ロイテリ菌</h3>
数多くのプロバイオティクスの中でも、予防歯科に関係性の高いプロバイオティクスとして、ラクトバチラス ロイテリ菌(L.ロイテリ菌)があります。
L.ロイテリ菌は、乳酸菌のひとつです。
L.ロイテリ菌にはお口の中に止まりやすい性質があり、歯やお口の健康を守ります。
もちろんプロバイオティクスですから、胃腸などの消化器官の環境を整える働きも持っています。
例えば、胃の中のピロリ菌を減らし胃潰瘍などのリスクを下げてくれるなど、とても優れた細菌です。
<h3>L.ロイテリ菌の作用</h3>
L.ロイテリ菌は、ロイテリンという抗菌作用のある物質を作り出す性質を持っています。
ロイテリンは、むし歯菌や歯周病菌に作用する性質のある抗菌物質で、むし歯菌や歯周病菌の繁殖を抑えます。
むし歯菌や歯周病菌が減る理由の一つは、このロイテリンの作用です。
また、プロバイオティクスとして免疫力を高めることも、むし歯菌や歯周病菌を減らす効果があります。
L.ロイテリ菌はこれらの働きで、歯やお口の健康を高めると考えられています。
<h2>L.ロイテリ菌の予防歯科効果</h2>
L.ロイテリ菌は、次に挙げるような効果を持つプロバイオティクスです。
<h3>むし歯菌や歯周病菌への抗菌作用</h3>
L.ロイテリ菌を接種したのち、お口の中の唾液に含まれるむし歯菌の数を測定したところ、20~30%くらいにまで減少していたそうです。
歯周病菌に関しては、90%も減っていたということで、お口の2大トラブルの原因菌に対するL.ロイテリ菌がわかります。
<h3>プラークコントロールの向上</h3>
プラークとは、歯の表面についている白いカスのような付着物ですが、その正体は細菌の塊です。
むし歯や歯周病の原因菌もここにいます。
L.ロイテリ菌は抗菌作用によりむし歯菌や歯周病菌を減らしますので、細菌の集合体であるプラークも減ります。
プラークコントロールは、歯磨きなどを通してプラークを減らすことです。
プラークが減ると、日常の歯磨きでのプラークコントロールもしやすくなります。
<h3>歯周病の進行抑制</h3>
一度発症してしまった歯周病にもL.ロイテリ菌は有効です。
歯周病の原因は、プラークの中にいる歯周病菌です。
L.ロイテリ菌を摂取すると、歯周病菌の数が大きく減少しますので、歯周病の進行を抑えるのにも効果が高いです。
実際、歯肉の炎症が落ち着き、出血や痛みが大幅に改善できます。
<h3>抗菌薬を減らせる</h3>
L.ロイテリ菌は抗菌作用で細菌の数を減らすと同時に、腸内環境を整えて免疫力も高めます。
歯やお口が炎症を起こしにくくなりますので、抗菌薬の使用量を減らす効果が期待できます。
<h2>まとめ</h2>
今回は、予防歯科でのブロバイオティクスの効果についてお話ししました。
プロバイオティクスというと腸の環境を整えるイメージがありますが、プロバイオティクスのひとつL.ロイテリ菌には
①むし歯菌や歯周病菌への抗菌作用
②プラークコントロールの向上
③歯周病の進行抑制
④抗菌薬を減らす
などの効果が期待できます。
むし歯や歯周病予防にプロバイオティクスを試してみるのもおすすめです。
ただし、L.ロイテリ菌をはじめプロバイオティクスだけでむし歯や歯周病を予防できるわけではありません。
あくまでもむし歯や歯周病予防を助けるだけですので、ご注意ください。
当院は、予防歯科に力を入れており、その専門知識や経験の豊富です。
予防歯科にご興味のある方、予防歯科を受けたいという方は、当院で一緒に予防歯科に取り組みませんか?

 

投稿者: 柏木歯科医院

2023.07.21更新


コロナがおさまってきて、インフルエンザと同じ扱いになりました。海外から日本に来られる方も多く見かけるようになりました。ニュースでは、日本から海外へ行かれる方もコロナ禍の前に戻ってきていると報道されています。
旅行や仕事で海外へ行かれる予定の方、これから増えてくると思われます。以前のように長期間、海外に滞在する方も多くいらっしゃると思います。海外に長く居ることになると、日本とは違う生活を送る事が長くなります。歯科治療についても、海外で長く滞在すると日本とは違う事があります。日本では健康保険制度が行き届き、歯科治療も高額になることは少ないです。海外では、一人一人が民間の保険に入ってます。ただ、この保険を利用しても海外で歯科治療をすると治療費が高くなることがあります。
海外に新たに行かれる方、海外から戻られた方が、日本に居る間に歯科治療を受けたいとお話される際、まずこの歯科の治療費のお話が出てきます。更に海外では、自費診療となり英語で治療方針を相談することが多く必要になります。また歯科が更に専門科目に分かれ、場合によっては幾つかの歯科医院の受診が必要になります。日本の歯科医院の受診とは違う事に戸惑う方も多く、このため日本に居る間にできる限り歯科受診を受けてから海外へ行きたいと希望される方が多くいらっしゃいます。


目次
・日本人の歯並び
- 日本の健康保険制度
- 日本人の歯科矯正への考え
- 日本人の歯並びの先天的特徴
- 日本人の歯並びへの文化的な考え
・日本と海外の歯科矯正のイメージの比較
- 日本での歯科矯正のイメージ
- 海外での歯科矯正のイメージ
・まとめ

<h2>日本人の歯並び</h2>
日本人の歯並びについて、日本に住む外国の方に聞くと、「歯並びが悪い。」との答えが多く集まります。アンケートをすると半分以上の方から、指摘を受けることがあるそうです。

<h3>日本の健康保険制度</h3>
日本人の歯並びが悪い原因の一つは健康保険制度です。日本では健康保険制度が発達しているため、虫歯になっても気軽に歯科医院に行けます。しかし、海外では虫歯になれば全額自己負担で治療する必要があります。そのため、海外の人は常日頃から予防歯科への意識がとても高く、歯列矯正をして虫歯になりにくい歯並びにし、口腔ケアをかかさない方が多いです 。

<h3>日本人の歯科矯正への考え</h3>
歯科矯正に関する考え方の違いも原因としていわれます。海外では、子どもの頃から歯並びや噛み合せを整えることが一般的です。身だしなみや健康管理の一環として非常に重視されています。特にアメリカやヨーロッパでは、歯並びが悪いと交友関係のみならず、仕事・社会的立場にまで影響すると考えられてること多いです。一方、日本では歯科矯正の考えがまだ十分には広がっていないところもあります。また、歯科矯正にかかる費用、時間などのハードルを高く感じられる方もみかけます。そのため、歯並びに悩んでいる方でも、歯科医院に相談に行った方は2割くらいしかいらっしゃらないという調査結果もあります。しかし最近では、日本でも歯科矯正に対する考えが変わりつつあります。取り外し可能な矯正器具や舌側のみで行う器具などの新しい器具も導入されています。見た目、痛みを気にせず歯科矯正を受けられるようになってきています。
<h3>日本人の歯並びの先天的特徴</h3>
日本人の歯並びが悪い原因の一つに先天的なものもあります。日本人は欧米の方に比べて癒合歯(二つの歯が繋がってる歯)の発生頻度が高いです。また八重歯の発生頻度も高いです。

<h3>日本人の歯並びへの文化的な考え</h3>
日本人の歯並びが悪い原因の一つに文化的なものもあります。日本は島国で、周りの国との交流は陸続きの国と比べる少ないです。八重歯がチャームポイントとされ、アメリカやヨーロッパとは違う認識が長くありました 。

<h2>日本と海外の歯科矯正のイメージの比較</h2>

<h3>日本での歯科矯正のイメージ</h3>
日本では歯科矯正に対してマイナスイメージを持っている人がいます。歯科矯正に関するアンケートでは、歯科矯正を始めたきっかけは、歯並びのコンプレックスが半分強を占めていました。「周りの人に歯並びの悪さを指摘されたから」など、ネガティブな理由が多かったです。歯科矯正を受ける前は、プラスイメージを持っている人とマイナスイメージを持っている人が半分ずつくらいでした。マイナスイメージは、時間やお金がかかる、痛みがある、見た目が悪いなどのイメージでした。
このアンケート結果からは、「歯科矯正は自分の歯並びに不満がある人や、周わりから指摘された人が行うもので、美容や健康のために積極的に行うものではない。歯科矯正は費用、時間、痛み、見た目などのハードルが高い。」という考えを持っている方がいることがわかります。日本では、歯科矯正の装置を付けることは恥ずかしいと考える人がいます。コロナ禍のマスク生活で、歯科矯正を始める人が多いのもこのためです。

<h3>海外での歯科矯正のイメージ</h3>
海外では、歯科矯正の装置を付けることがステータスで、装置を付けることが嬉しいという声をよく聞きます。歯並びが悪いと、自己管理ができていない人と見られてしまうこともあります。海外では、歯に対する投資意識が高いです。歯科矯正ができる人は裕福な家庭と見られることが多く、歯科矯正の装置が見えることへの抵抗は少ないです。

 


<h2>まとめ</h2>
日本と海外との交流が戻り始めました。異なる文化に触れ、グローバルな価値観や視野が更に広がってゆきます。自分の意見を積極的に発信したり、自分の能力をアピールしたりすることが求められます。その際、笑える口元、美しい歯並びは社会的ステータスや健康の象徴とされています。そのため、海外では矯正治療が一般的です。日本でもますます歯科矯正の考えが広がってゆきます。
国際交流が戻り始めました。日本と海外の歯並びの比較についてお話しました。是非、参考にして下さい。

投稿者: 柏木歯科医院

2023.07.14更新

 

こんにちは
歯周病は、むし歯と並ぶ歯の病気として広く知られている病気です。
多くの方は、歯周病と聞くと、歯やその周囲組織だけに生じる病気と思われているようです。
ところが、実は歯周病は、単に歯やその周囲だけに起こる病気ではなく、その影響は全身のさまざまな病気に及ぶことが明らかになっています。
歯周病はどのように全身の健康に影響を及ぼすのでしょうか。
今回は、歯周病と全身疾患との関係についてご説明します。

<h2>血管系の病気</h2>
歯周病菌は血管を通して運ばれることから、血管系の病気と歯周病は密接に関係しています。
<h3>心臓病</h3>
狭心症や心筋梗塞という病気は、心臓の血管に血栓という詰まりができることで起こります。
細菌性心内膜炎という心臓病の方の心臓の病巣から歯周病菌が見つかっていることから、歯周病菌が血管に入り込み、心臓まで届けられていることがわかっています。
心臓の血管内の歯周病菌に対して、免疫系が作用して炎症反応が起こると、血管にも炎症反応が生じます。
この結果、血栓が作られると考えられています。
また、動脈硬化を悪化させているとも指摘されています。
歯周病は、血栓の形成や動脈硬化の進行により心臓病のリスクを高めます。
<h3>脳梗塞</h3>
歯周病菌は、脳の血管にも届いています。
脳の血管内で炎症反応が起こることで血栓が作られる、もしくは心臓で作られた血栓が脳に送られることで、脳血管が詰まると、脳梗塞を起こす場合があります。
歯周病になっていると、そうでない方と比べて脳梗塞を起こすリスクが高いこともわかっています。

<h2>糖尿病</h2>
糖尿病は、インスリンの量や働きの不足によって血糖値が上がる病気です。
糖尿病にはさまざまな合併症があります。
以前からよく知られている合併症は、網膜症による失明や腎障害による透析、足病変による足の壊疽です。
実は、歯周病は第四の合併症とも言われており、糖尿病が進行すると歯周病になりやすくなります。
困ったことに、歯周病が悪化するとインスリンの抵抗性が高まり糖尿病も悪化します。
歯周病は、糖尿病と無限ループのような密な関係にあります。
<h2>妊娠への影響</h2>
歯周病は、妊娠中の方にも悪影響を及ぼします。
<h3>妊娠性歯周炎</h3>
妊娠中、ホルモンバランスの変化により、歯肉の腫れや出血が起こりやすくなります。
これを妊娠性歯周炎とよんでいます。
妊娠性歯周炎は、妊娠前から歯周病になっている方はより悪化しやすくなりますし、妊娠前に歯周病になっていなかった方も妊娠を契機に発症することがあります。
<h3>早産と低体重児出産</h3>
赤ちゃんのいる胎盤にも歯周病菌は血管を通して運ばれます。
歯周病菌が胎盤を過度に刺激する結果、胎児の成長発育に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に影響度が高いのが、中等度以上の歯周病です。
中等度以上の歯周病の妊婦さんは、そうでない方と比べると早産や低体重児出産のリスクが高いことが指摘されています。
<h2>肺炎</h2>
歯周病菌は肺炎の原因にもなっていると考えられています。
<h3>誤嚥性肺炎</h3>
お口の中には、歯周病菌だけでなく、さまざまな細菌がいます。
食べたり飲んだりすると、食べ物や飲み物の中に細菌が入り込みます。
もちろん、唾液にも入り込んでいます。
食べ物や飲み物、唾液がちゃんと胃に入れば、胃酸で殺菌されるので問題ありません。
ところが、高齢の方などに多いのですが、ちゃんと飲み込めずに、肺に入り込んでしまうことがあります。
そうすると、肺の中で歯周病菌などの細菌が増殖して、誤嚥性肺炎という肺炎を起こす場合があります。
<h2>認知症</h2>
認知症は、社会の高齢化の進展に伴い社会問題となっています。
認知症にも歯周病は関係しています。
<h3>アルツハイマー型認知症</h3>
認知症はいくつかのタイプに分類されており、アルツハイマー型認知症はそのひとつです。
アルツハイマー型認知症の発症には、アミロイドβというタンパク質が関係していることが明らかになっています。
アルツハイマー型認知症の進行のきっかけとして脳の中に集まったアミロイドβが関係していると考えられています。
アミロイドβは、種々の原因で作られますが、歯周病菌により炎症反応が生じたときにもアミロイドβが作られます。
歯周病菌は体の各所に血液の流れによって運ばれるため、身体中でアミロイドβが作られ、脳に集まり、アルツハイマー型認知症をより進行させる可能性が指摘されています。
<h2>リウマチ</h2>
リウマチは、自分自身の免疫系が手足の関節に反応し、関節の痛みや変形を生じる病気です。
リウマチの発症には、抗シトルリン化タンパク抗体という免疫細胞が関係しているとされています。
歯周病菌の中には、この細胞を作り出す際に必要な酵素を持つものがあり、リウマチを悪化させる要因として考えられています。
<h2>まとめ</h2>
今回は、歯周病と全身疾患との関係性についてお話ししました。
歯周病は単に歯や歯周組織に生じるだけの病気ではなく、全身的な病気と密接な関係にある病気と考えられるようになっています。
したがって、歯周病の予防や治療は、全身的な健康管理という視点からもとても大切です。
当院では、歯周病の専門知識に加え、長年にわたる歯周病治療を通した豊富な経験を有する歯科医院です。
当院で一緒に歯周病のコントロールを行い、全身的な健康維持に努めませんか。

 

投稿者: 柏木歯科医院

2023.07.07更新

 

<h2>歯垢と歯石はどういう違いがあるか</h2>
<h3>歯垢とは?</h3>
歯垢はプラークとも呼ばれています。歯垢は食べかすが歯に付いたものという認識を持っている方がいますが、食べかすだけではありません。顕微鏡で見ると食べかすよりも細菌が多くを占めます。つまりプラークの主体は細菌です。成熟した歯垢はねばねばしてさらに細菌を凝集させていきます。およそ1mg中に1億個以上の細菌がいると言われています。ですので、最近はプラークはバイオフィルムと呼ばれることもあります。歯垢自体は食後4~8時間程度で作られます。歯垢はよく知られるようにむし歯や歯周病、口臭の原因になります。細菌は糖を分解し酸を作りむし歯の原因となり、細菌から出される毒素やケミカルメディエーターと呼ばれる炎症を惹起させる物質は歯周病を誘発します。舌に汚れが溜まると舌苔と呼ばれますが、これが口臭の原因となることがあります。
<h3>歯石とは?</h3>
歯石は歯垢(プラーク)が硬くなったものです。不十分な歯磨きで歯垢が除去できていないと、唾液に含まれるカルシウムやリン酸が歯垢に沈着し石灰化と言って硬くなっていきます。歯垢は軟らかく容易に除去できますが歯石は硬くなって文字通り石のようになり、歯ブラシで除去が難しくなります。歯石は歯垢がついて2、3日程度で歯石に変わっていくと言われています。歯石はその成分のおよそ8割がリン酸カルシムです。しかし中にはタンパク質、炭水化物、細菌が含まれています。歯石そのものがむし歯を引き起こすことは考えにくいですが、歯石の表面はざらざらしているためにさらに汚れや細菌が付きやすい環境になります。そのため歯周病やむし歯治療の一環として歯石の除去が行われます。
<h3>歯石には種類がある?</h3>
歯石は部位によって呼び方が異なります。歯茎の上にあるものと下にあるものによって名称がかわり、前者は歯肉縁上歯石、後者は歯肉縁下歯石となります。縁上歯石は白色や黄色を帯びていて、縁下歯石と比べ比較的容易に除去が可能です。一方で縁下歯石になると血液成分を含み褐色、黒色になり固く歯の面にこびり付いて除去することが難しくなります。

<h2>歯垢と歯石に対する治療法</h2>
<h3>歯垢に対する治療法</h3>
歯垢は食後8時間程度もすれば歯の周りや歯茎周りに付いてきてしまいます。歯科医院で歯垢を除去する掃除をしていたとしても、基本的に多くの場合は早くても1週間に1度のペースの予約だと思います。1週間も汚れを放置していれば、歯垢ではなく歯石に変わり歯茎の炎症を引き起こしてしまいます。従って歯垢に対する治療法は予防法に準じますが、ご自身のセルフケアつまり歯磨きが最も効果的で重要です。時々うがいだけで殆ど歯磨きをしない方がいますが、歯垢は細菌の塊でバイオフィルムという物を作っています。これは排水溝のぬめりと同じで流してもなかなか除去できません。こすり落とさないとなかなか除去できないものです。うがい薬の薬用成分もバイオフィルムには浸透しにくいです。しっかりと磨いて汚れを落としましょう。
<h3>歯石に対する治療法</h3>
歯石は前述のように固くて歯ブラシで除去することが困難です。歯石が付いてしまった場合には歯科医院で除去してもらい、口腔環境を整えることが重要になります。歯石を除去する道具はスケーラー、超音波スケーラーなどが代表的なものです。これらは縁上歯石、縁下歯石のどちらにも使用しています。しかし、特に縁下歯石の除去は歯茎の中の歯石の除去をすることになり、直視して除去することができません。この場合には外科的に歯茎を切り、歯の根を直接目視して歯石をとることがあります。一般的にこのような処置は軽度の歯周病で行う事はありませんが、中等度、重度になると治療計画の1つとして検討することがあります。

<h2>歯垢と歯石の予防法</h2>
<h3>歯垢の予防法</h3>
歯垢は誰にでも付くもので避けることが難しいです。しかし、自身の歯磨きなどセルフケアでその量を減らす事が可能となります。歯ブラシの動かし方、歯への当て方、歯磨き回数・時間どれも重要です。磨いているにもかかわらず、磨けている気がしない、口の中の粘つきが取れない場合は歯磨き方法が上手くいっていない可能性があります。その他の補助用具として、歯間ブラシやフロスがあります。汚れは歯ブラシだけで除去することは困難です。補助用具の使用は1日1回は必ず行い、歯垢付着の予防を心がけましょう。
<h3>歯石の予防法</h3>
歯石は歯垢から派生してきます。従って、いかに歯垢を除去するかが歯石の予防法につながります。つまり歯垢付着予防が歯石沈着予防を兼ねるというふうに考えて良いでしょう。歯垢の量を減らす事が可能であれば、歯石の量も減っていきます。歯石は特に唾液腺開口部という唾液が出る場所から付きやすいとされています。上の奥歯の頬側、下の前歯の裏側に歯石ができやすいです。

<h2>まとめ</h2>
歯垢と歯石の違いが大まかに理解できたでしょうか。歯垢は柔らかいので歯磨きをすることによって自分で除去が可能です。いかに歯垢を除去できるかが、歯石が沈着するかに関わってきます。歯垢は歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシなども使用して取るようにしましょう。歯石は歯科医院にて定期的に除去してもらうようにしてください。歯垢の除去は歯周病治療の基本でありながら重要な項目です。日頃のセルフケアを大切にしてください。

 

 

投稿者: 柏木歯科医院

2023.06.30更新

 

こんにちは
本物の歯と同じような仕上がりで知られるオールセラミッククラウンですが、オールセラミッククラウンが広く普及するきっかけとなったのが、ジルコニアというセラミック材料の登場です。
ジルコニアがセラミッククラウンに使われるようになったのは2005年です。
それからまもなく20年になろうとしています。
この間、ジルコニアは進化を続け、現在では第4世代とよばれるジルコニアが登場しています。
今回は、進化し続けるセラミック材料・ジルコニアについてお話しします。

<h2>ジルコニアって何?</h2>
まず、ジルコニアについてお話しします。
<h3>ジルコニアについて</h3>
ジルコニアは、正式には二酸化ジルコニアというセラミックで、原産地はオーストラリアや南アフリカなどです。
ジルコニアは、人工ダイヤモンドともよばれています。
セラミッククラウンのほか、身近なところではアクセサリーから人工関節、さらにはスペースシャトルの断熱材まで広く使われているセラミック材料です。
<h3>歯科でのジルコニア</h3>
ジルコニアは、セラミックの中でも粘り強さに優れた性質を持ち、とても強くて丈夫です。
しかも、光透過性を持ち、色も白色ということから、セラミッククラウンの材料として有望視されていました。
しかし、あまりにも硬いため、精度の高い加工が難しくセラミッククラウンに使うのは困難でした。
そんな中、コンピューターと工作機械の組み合わせた工作技術が歯科に導入されました。
これにより、高い精度を保ちつつ、ジルコニアを加工できるようになり、オールセラミッククラウンへの道が開けたのでした。
<h3>ジルコニア・オールセラミッククラウン</h3>
ジルコニアを使ったセラミッククラウンをジルコニア・オールセラミッククラウンといいます。
セラミッククラウン自体は、従来からあったのですが、セラミックの脆さを補うため、内面を金属で補強していました。
このため、セラミックの特徴である透明感が金属により損なわれていたのです。
そこで、内面の補強材を金属からジルコニアに代え、セラミックの透明感を最大限に発揮できるようにしたのが、ジルコニア・オールセラミッククラウンです。
ジルコニア・オールセラミッククラウンは、本物の歯と見紛うばかりの自然な仕上がりが得られます。
金属を使わないので金属アレルギーの心配もありません。
このような特徴から、従来型のセラミッククラウンに代わる新世代のセラミッククラウンとしてジルコニア・オールセラミッククラウンは広く普及していったのです。

<h2>ジルコニアの進化</h2>
ジルコニアは、本物の歯と同じような仕上がりを実現できるセラミック材料ということで、登場当初から注目され、年々改良が繰り返されています。
<h3>第1世代</h3>
第1世代は、2005年に登場した最初のジルコニアです。
大変強度が高いのが特徴なのですが、光の透過性が不足し、グラデーションのない均一な真っ白な色調であったため、自然な色料を再現することはできませんでした。
そこで、第1世代ジルコニアは、金属に代わるセラミッククラウンの内面の補強材に使用されることになったのです。
それでも、セラミッククラウンの縁が見えると、ジルコニアの白さに違和感を感じかねません。
セラミッククラウンが薄すぎると、内側のジルコニアが透けてしまい、不自然さのある白さになってしまいます。
このため、セラミッククラウンの縁を歯肉より下に入れて縁を隠す、不透明な白さをなくすために十分な厚みを持たせるなどの必要がありました。
適応範囲が狭く、歯を削る量が多いのが第1世代のジルコニアの欠点でした。
<h3>第2世代</h3>
第2世代のジルコニアは、2013年に登場したジルコニアセラミックです。
第1世代の白すぎるという不透明さを解消するために、成分の調整が行われ、光の透過性が改善されたのが特徴です。
第1世代のジルコニアでは、透明度を上げると強度が下がるのが難点だったのですが、第2世代になり透明度を上げても強度の低下は最小限にとどめられました。
これにより、厚みが少なくても自然な色合いを再現できるようになり、歯を削る量が減りました。
改良された第2世代のジルコニアは、奥歯など目立ちにくいところならジルコニア単体のセラミッククラウンも可能になり、神経が残っている歯にも十分適用できるようになりました。
<h3>第3世代</h3>
第3世代のジルコニアでは、本物の歯のようなグラデーションを備えた上、高い光透過性を有する審美性の高いジルコニアが実現しました。
このため、第3世代のジルコニアでは、目立ちやすい前歯部もジルコニアだけでセラミッククラウンを作ることも可能になりました。
一方で、第3世代のジルコニアの特徴でもある光透過性の向上は、ジルコニアの強度の低下を伴い、第1世代の3分の2程度まで下がってしまいました。
強度の低下により、欠損歯が3本以上になるようなロングスパンとよばれる大きなブリッジに使うのは難しくなりました。
<h3>第4世代</h3>
第4世代のジルコニアの特徴は、第3世代のジルコニアで低下した強さを第1世代並みに強化したところにあります。
もちろん、強度を上げて透過性が低下したのでは、第1世代と違いがありません。
光の透過率は、第3世代より少し下がる程度、第2世代を上回るほどにまでとなっています。
強度と審美性を両立させたのが、第4世代ジルコニアの特徴といえます。
この改良により、第4世代のジルコニアは、ジルコニア単独でも十分な審美性を確保できたことは言うまでもなく、ロングスパンのブリッジにも十分応用できるようになりました。

<h2>まとめ</h2>
今回は、オールセラミッククラウンが普及するきっかけとなったジルコニアというセラミック材料の進化についてお話ししました。
ジルコニアを使ったセラミッククラウンは光透過性が高く、本物の歯と同じような仕上がりが得られる上に、強度も高いのが利点です。
このため、ジルコニアに対する審美歯科からの期待度はとても高く、登場してから20年ほどの間に改良が繰り返され、現在では第4世代になっています。
美しさを求める声がなくならない限り、それに応えるべく、ジルコニアの改良はこれからも続くことでしょう。

 

投稿者: 柏木歯科医院

2023.06.23更新

 

こんにちは
現代の歯科治療では、むし歯やケガで欠けたり、穴があいたりした歯を被せ物や詰め物を使って治す治療が行われています。
被せ物や詰め物は接着剤で歯にくっつけていますが、外れることもあります。
もし、被せ物や詰め物が外れたらどうすればいいのでしょうか。
今回は、被せ物や詰め物が外れてしまったときの対処法についてご説明します。

<h2>被せ物や詰め物が外れたときの対処法
被せ物や詰め物が外れ、歯科医院を受診するまでの対処法についてご説明します。
<h3>外れた被せ物や詰め物の取り扱い</h2>
まず、すぐにかかりつけの歯科医院に連絡して、予約を取ってください。
早くいけばいくほど、もう一度つけ直すことができる可能性があります。
透明の小さめの袋に入れて目につく場所に保管をしておいて下さい。
ティッシュや脱脂綿などにくるんでしまうと、本人は外れて詰め物と思っていますが、ほかの人にはごみと認識していまい、捨てられてしまう可能性があるので、透明の袋もしくは小さめの入れ物(ピルケースなど)にいれて、歯科医院にご持参ください。

<h3>外れた歯で噛まない</h3>
被せ物や詰め物が外れた歯は、形が不自然になっています。
例えば、窪んでいるところの周囲に噛み合わせの力が過度に加わると、歯が折れたり、欠けたりすることがあります。
そこで、外れた歯では、極力食べ物を噛まないようにしてください。
<h3>外れた歯の歯磨き</h3>
外れた部分の表面はエナメル質が失われ、象牙質が露出した状態になっています。
象牙質はエナメル質と異なり、やわらかいのでむし歯菌の作り出す乳酸に溶かされやすいです。
言い方を変えると、外れた部分はむし歯になりやすいので、歯磨きは十分に行なってください。
<h3>痛みを感じた場合</h3>
被せ物や詰め物が外れた歯が、冷たいものや熱いものがしみる、噛むと痛いなど、痛みを感じることもあります。
そのようなときは、冷たいものや熱いもので痛む場合は、常温の食べ物や飲み物にしていただくといいでしょう。
痛みが強い場合は、市販の痛み止めの薬をお使いになることをおすすめします。

<h2> 被せ物や詰め物が外れたときの注意点</h2>
つけていた被せ物や詰め物が外れてしまったときに、決してしないでほしいことがあります。
被せ物や詰め物はさまざまな素材で作られています。
最近ではプラスチック製の被せ物や詰め物も広く普及しています。
プラスチック製の被せ物や詰め物は壊れやすいです。
外れた被せ物や詰め物を歯科医院にお持ちの際はプラスティックの入れ物(ピルケース)などに入れて、お越しください。
<h3>外れた被せ物や詰め物を歯に入れない</h3>
比較的見えやすい部分の被せ物や詰め物が外れたとき、歯に戻して歯科医院を受診しようとする方がいらっしゃいます。
きれいに収まればいいのですが、よくない向きで入れてしまうと、被せ物や詰め物が変形したり壊れたりすることがあります。
ご自身の手で戻さないようにしてください。
<h3>アロンアルフアを使わない</h3>
先ほどの話にも通じるところがあるのですが、中にはアロンアルフアなどの市販の接着剤でご自身でくっつけようとする方もおられます。
歯に中途半端に接着剤が残ってしまうと、外すのはかなり困難です。
歯を削るほかない時もあります。
DIYではないので、市販の接着剤でくっつけたりしないようにしてください。
<h3>放置しない</h3>
被せ物や詰め物が取れたけれど、痛くもないし、忙しいから、歯科医院についつい放置していたという方がいらっしゃいます。
被せ物や詰め物が外れたまま放置していると、外れた当初は大丈夫だったとしても、むし歯が発生してしまうことも珍しくありません。
食べ物を噛んだときに歯が欠けたり割れたりする可能性もあります。
むし歯が再発したり歯が欠けたりすると、外れた被せ物や詰め物をつけ直すことはできません。
歯が割れると、歯を抜かなければならなくなります。
被せ物や詰め物が外れたときは、放置しないで早めに歯科医院を受診するようにしてください。
<h2>被せ物や詰め物が外れたときの歯科医院での対処法</h2>
被せ物や詰め物が外れた歯に対し、歯科医院ではどのような治療を行うのでしょうか。
<h3>再装着</h3>
外れた被せ物や詰め物の合い具合に問題がなく、かつ歯にも大きな問題がない場合は、外れた被せ物や詰め物をもう一度歯にくっつけます。
再装着ですむなら、治療は1日で終わりますし、治療費も最も低くおさえられます。
<h3>再製作</h3>
外れた歯にはむし歯などの問題がなくても、外れた被せ物や詰め物が欠けていたり、歪んでいたりすると、歯に戻すことはできません。
このような場合は、歯の形を整え直して、歯型を取り、もう一度新しい被せ物や詰め物を作ります。
<h3>根管治療</h3>
外れた歯にむし歯だけでなく、根の先に炎症も認めた場合は、歯の根の治療をしてから被せ物や詰め物を再製作します。
根管治療とは、歯の根の治療のことです。
歯の根の治療をした上で、ポスト、もしくはコアとよばれる土台を立てて、被せ物を装着して直します。
<h3>抜歯</h3>
外れた歯の根が割れていたり、歯肉よりかなり下の方までむし歯が進んでいたりする場合は、被せ物や詰め物を作り直すことはできません。
残念ですが、その歯は抜歯することになります。
<h2>まとめ</h2>
今回は、被せ物や詰め物が外れてしまったときの対処法についてご説明しました。
このコラムをお読みになると、被せ物や詰め物が外れたときの対処法がご理解いただけたのではないでしょうか。
被せ物や詰め物が外れたときは、
① まずはかかりつけの歯科医院へ予約を取る。
②外れた歯でなるべく噛まない
③痛みがあるときは市販の痛み止めを使う
などの対処を図るようにしてください。
① 外れた被せ物や詰め物を歯に戻さない
② 市販の接着剤などで自分でつけたりしないこと
③ そのまま放置しない(現状より悪くなってしまうだけです)
 などです。
当院も被せ物や詰め物が外れた歯の治療を行なっています。
被せ物や詰め物が外れてお困りの方は、当院にぜひお越しください。

投稿者: 柏木歯科医院

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