こんにちは
動物によって歯の数が違うのはご存知ですか?
実は、ヒトの歯は中でもかなり少ない部類に入ります。
人類は万物の霊長として、進化の頂点にいるとされているのに、歯の数が少ないのは意外に思われませんか?
そこで今回は、動物の歯の数について哺乳類を中心にお話ししようと思います。
歯の種類
歯には、切歯・犬歯・小臼歯・大臼歯の4種類があります。
切歯は、最も前にある歯で、食べ物をお口の中に取り込む役割を有しています。
犬歯は、切歯の後ろの歯で、獲物を捕らえる役割を担っています。
小臼歯は、犬歯の後ろの歯で、食べ物をすりつぶしたり噛み砕いたりします。
大臼歯は、小臼歯の後ろにある歯で、食べ物をより小さくすりつぶしたり、噛み砕いたりできます。
切歯と犬歯が前歯で、小臼歯と大臼歯が奥歯です。
なお、動物の世界では、小臼歯を前臼歯、大臼歯を後臼歯という呼び方をすることもあります。
ヒトの歯の数
まず最初にヒトの歯の数についてお話しします。
ヒトの歯の数
ヒトの永久歯は、切歯2本、犬歯1本、小臼歯2本、大臼歯3本が上下左右にあり、合計32本になります。
親知らずを含んでこの数ですので、親知らずを省くと28本です。
乳歯は、乳切歯2本、乳犬歯1本、乳臼歯2本の組み合わせで上下左右にあり、合計20本です。
類人猿の歯の数
ヒトに最も近い動物が、チンパンジーやオランウータンなどの類人猿です。
類人猿の歯は、切歯2本、犬歯1本、小臼歯3本、大臼歯3本という組み合わせがほとんどです。
小臼歯の数がヒトより1本多い3本ですね。
大臼歯の数はヒトも類人猿も3本ですが、ヒトの大臼歯は親知らずとして知られている第三大臼歯の退化傾向が著明なので、いずれは小臼歯と同じく2本になりそうです。
ヒト以外の哺乳類の歯の数
次にヒト以外の哺乳類の歯の数を、見てみましょう。
草食動物
草食動物の歯は、植物をすり潰しやすいような形をしています。
多いのが、切歯0~2本、犬歯0~1本、小臼歯3本、大臼歯3本というパターンで、歯の数は上下左右合わせて30本前後です。
草食動物の歯の特徴は、切歯が強く発達し、植物をすり潰しやすいような凹凸の少ない臼歯が24本ほどととても多いという点です。
馬のオスには犬歯がありますが、馬のメスには犬歯はありません。
うさぎやネズミにも犬歯はありません。
草食動物には犬歯はあまり必要ないようですね。
肉食動物
肉食動物の歯は、苦労して捕らえた獲物が逃げないようにしっかり噛み付ける形をしています。
多いのは、切歯3本、犬歯1本、小臼歯3本、大臼歯1本の組み合わせで、上下左右合わせて30本前後です。
肉食動物の歯の特徴は、犬歯が大きく発達しているという点と、臼歯が肉を噛みやすいように凸凹と尖った形になっている点です。
歯の本数を見てみても、草食動物より臼歯、特に大臼歯の数が少なくなっています。
雑食動物
雑食動物、つまり肉も植物も食べる動物の歯は、草食動物と肉食動物の中間のような形をしています。
多いのは、切歯3本、犬歯1本、小臼歯4本、大臼歯2~3本の組み合わせで、上下左右合わせて40本前後です。
犬歯は肉食動物ほどの大きさではありませんが、臼歯は草食動物のように平らではなく、肉食動物のような凹凸のある形をしています。
鳥類の歯の数
鳥はくちばしはありますが、歯はありません。
鳥の先祖である恐竜には歯がありましたし、始祖鳥にも歯はありましたから、進化の過程で歯を無くしたことになります。
歯を無くした理由はよくわかっていません。
顎と歯を備えると頭部が重くなりすぎて飛べなくなるのでは、という説もありますし、歯が出来上がるまでには時間も栄養もとられるので、時間と栄養を節約するためという説もあります。
答えはまだ明らかになっていません。
哺乳類とそのほかの動物の歯の比較
哺乳類とそのほかの動物の歯を比べてみましょう。
生え変わる回数
哺乳類の歯は、乳歯と永久歯の2種類しかないので、生え変わる回数は生涯1回だけです。
爬虫類の歯は、一生涯の間に何回も生え変わります。
なお、クジラは哺乳類ですが、歯がないヒゲクジラというクジラもいます。
歯の形
哺乳類の歯は、機能に応じて切歯・犬歯・小臼歯・大臼歯の4種類あります。
爬虫類の歯は、形に違いがほとんどなく、ほぼ全て円錐形です。
歯の生え方
哺乳類の歯は、歯根が顎の骨に埋まっていて、しっかりしています。
爬虫類の歯は、顎の表面部分に歯が直接ついているような感じに生えています。
生え変わるときには、表面が骨折するような状態になり歯が抜ける仕組みになっています。
まとめ
今回は、ヒトと動物の歯の数の違いについてご紹介しました。
哺乳類の歯は、草食動物と肉食動物ではおおむね30本くらい、雑食動物で40本くらいです。
草食動物では繊維質の植物をすりつぶすために大臼歯が発達し、肉食動物では獲物を逃さないために犬歯が発達するなど、食べ物の種類に応じた歯が生えています。
雑食動物は、植物も肉もどちらも効率よく食べるために、歯の数が多くなっていると思われます。
ヒトも雑食動物ですが、歯の本数は28~32本と雑食動物の仲間としてはかなり少なくなっています。
これはヒトだけでなく、ヒトに近い類人猿全体に見られる傾向です。
ヒトの歯の数はその中でもさらに少なく、進化の過程で歯が減っています。
また、哺乳類以外の動物では、爬虫類の歯は顎の上に直接くっついており、形も円錐形と単純で、何度も生え変わります。
哺乳類は、人と同じく、顎の骨の中に歯根があり、爬虫類以上にしっかりしています。
歯の形も複雑な上、生え変わる回数も1回だけです。
歯も進化と共に、より効率よくしっかり噛めるように変化していることがわかりますね。