【内容】
妊娠され体の変調や生活習慣の相談をされる方で、歯周病のお話もよく出てきます。歯周病の詳しいお話をしてゆきます。是非参考にして下さい。
目次
・妊娠中は歯周病が悪化しやすいですか?
ホルモンバランスの変化
つわり
妊娠性歯肉炎
妊娠性エプーリス
歯垢コントロールが重要
・歯周病がおなかの子供に与える影響
・歯科治療を受けられるタイミング
・安定期に入ったら一度歯科医院に
・まとめ
<h2>妊娠中は歯周病が悪化しやすいですか?</h2>
妊娠中は、体の変化によって、歯周病の原因となる細菌が増えたり、歯肉の炎症や出血が起こりやすくなったりします 。
<h3>ホルモンバランスの変化</h3>
妊娠中は、ホルモンバランスの変化によって、歯周病の原因となる細菌が増えたり、歯肉の炎症や出血が起こりやすくなったりします 。特に、妊娠中期から後期にかけては、プロゲステロンというホルモンの分泌量が増えて、血管の透過性が高まります。そのため、細菌に対する免疫力が低下したり、血流量が増えたりして、歯肉の腫れや出血が激しくなることがあります。
<h3>❶つわり</h3>
つわりは、妊娠初期におこる吐き気や食欲不振などの症状のことです。つわりは個人差がありますが、多くの場合は妊娠4〜5週目から始まり、妊娠12〜16週目頃に収まると言われています。
つわりによって口腔内ケアが充分に行えないことも多くあります。それによって、以下のような問題が起こる可能性があります。
❶―⑴歯ブラシを口に入れると吐き気を催すため、歯磨きがしづらくなる。
❶―⑵食欲がなくなって偏食になったり、甘いものや酸っぱいものを好んだりする。
❶―⑶嘔吐することで胃酸が口内に残り、エナメル質を溶かしたりする。
❶―⑷よだれが増えて口内がネバネバしたりする。
これらのことは、歯垢(プラーク)の増殖や付着の原因となります。つわりの時期は特に注意して、正しいケアを行う必要があります。妊娠中のつわりと歯周病のケア方法としては、以下のようなことが挙げられます。
❶―⑸体調が良い時にしっかりと歯を磨く。歯間ブラシやデンタルフロスも使ってプラークや歯石をしっかり除去する。
❶―⑹水分をこまめに摂る。口の中が乾燥すると細菌が増えやすくなるため、お水や無糖の飲み物を飲む。
❶―⑺ガムを噛む。唾液の分泌を促進する効果がある。ただし、キシリトールの含有率が高い歯科用のガムを選ぶ。
<h3>妊娠性歯肉炎</h3>
妊娠性歯肉炎とは、妊娠中に歯肉に炎症が起こることを指します。
妊娠性歯肉炎は一時的なもので、出産後には自然に治ることもありますが、放置すると歯周炎に進行する可能性もあります。
<h3>妊娠性エプーリス</h3>
妊娠性エプーリスとは、妊娠中に歯肉にできる良性の腫瘍のことです。妊娠中は女性ホルモンの分泌量が増えて、歯肉の血管の透過性が高まります。そのため、細菌に対する免疫力が低下したり、血流量が増えたりして、歯肉の炎症や出血が起こりやすくなります。これが妊娠性エプーリスの原因と考えられています。
妊娠性エプーリスは、主に妊娠初期から中期にかけて発症し、歯間の歯肉が腫れて赤くなります。触ると痛みや出血があることもあります。妊娠性エプーリスは、出産後に自然に小さくなるか消えてしまうことが多いですが、放置すると歯周病に進行する可能性もあります。
<h3>歯垢コントロールが重要</h3>
歯垢コントロールをし、歯周病の原因となる歯垢(プラーク)を減らしましょう。歯垢は、歯の表面に付着した細菌のかたまりで、食べ物や唾液と結合して増殖します。歯垢が石灰化すると歯石になり、さらに細菌の付着を促進します。歯垢や歯石に含まれる細菌が、歯茎や歯を支える骨に炎症を起こします。これが歯周病です。歯周病は、初期段階では歯茎の赤みや腫れ、出血などが見られます。これを歯肉炎と呼びます。歯肉炎が進行すると、骨が溶かされて歯周ポケットが深くなります。これを歯周炎と呼びます。歯周炎になると、歯がグラグラになったり、抜け落ちたりする恐れがあります。
毎食、歯を磨きましょう。歯磨きは、歯垢を物理的に除去する最も基本的な方法です。歯磨き粉や電動歯ブラシを使うと、より効果的に歯垢を落とすことができます。特に、歯間や奥歯などの磨きにくい部分に注意して磨きましょう。
<h2>歯周病がおなかの子供に与える影響</h2>
妊娠中の歯周病は赤ちゃんにも影響を与えることがわかっています。歯周病の細菌は血液や唾液を介して胎盤や羊水に入り込むことがあります。その結果、胎盤や羊水の感染や炎症を引き起こして、早産や低体重児のリスクを高めることがあります。
<h2>歯科治療を受けられるタイミング</h2>
妊娠中に歯科治療を受けることはできますが、妊娠時期によって注意点があります。一般的には、妊娠中期(妊娠16~28週)が治療を受けるのに最適な時期とされています。妊娠初期(妊娠1~15週)は、切迫流産の危険性があるため、緊急を要する治療以外は控える方が良いでしょう。妊娠後期(妊娠29~40週)は、治療台に仰向けになるとお腹が圧迫されやすく、負担が大きくなります。特に臨月に入るといつ陣痛が始まってもおかしくないので、治療は控えた方が安心です。
歯科治療を受ける場合は、必ず歯科医師に妊娠していることを伝えてください。体調が悪いときや姿勢が辛いときは無理をせず、日時を変更したり休憩したりしてください。
<h2>安定期に入ったら一度歯科医院に</h2>
安定期に入ったら一度歯科医院にて歯石除去を受けることをおすすめします。歯石は歯周病の原因となる細菌のかたまりで、歯ブラシでは取り除けません。歯科医院では専用の器具で歯石を落としてくれます。歯石除去の頻度は個人差がありますが、歯科医院でプロフェッショナルケアを受けることで、歯周病の予防にもなります。
<h2>まとめ</h2>
毎日の口内ケアが大切です。妊娠中は歯周病になりやすく、胎児にも悪影響を及ぼす可能性があります。体調が良い時にしっかりと歯を磨き、口内環境を改善することができます。お口の中の健康は全身の健康にも関係していますので、ぜひ参考にしてみてください。