口腔癌のリスクファクターと予防方法


【内容】
先日、女性アイドルの方の復活コンサートがテレビで報道されていました。口腔癌(舌癌)を公表し、舌の半分以上の切除をされています。その後、治療やリハビリを頑張られ、今回のコンサートにのぞまれました。コンサートは多くのファンに感動を与え、「オープニングからエンディングまで皆、涙が止まらない程だった。」そうです。
今回の報道の前後から、口腔癌について、お話を頂くことが多くなりました。口腔癌はみて触れて確認できることが多く、早期診断・早期治療が可能です。そのため口腔癌のリスクファクターを知り、予防に努めることがとても大切です。その理由について、かなり詳しく、最新のお話をさせて頂きます。是非、ご参考にして頂ければと思います。

目次
・口腔癌とは
口腔癌の初期症状
口腔癌の診断
口腔癌の治療
・口腔癌のリスクファクター
・口腔癌の予防方法
・まとめ

<h2>口腔癌とは</h2>
口腔癌とは、お口の中の粘膜・骨・唾液腺などの悪性腫瘍のことです。口腔癌には、舌癌、歯肉癌、口底癌、頬粘膜癌などがあります。舌癌が最も多く、全体の6割程になります 。
<h3>口腔癌の初期症状について</h3>
口腔癌は、ちょっとした変化でもすぐ分かるお口の癌です。初期の状態では自覚症状がないことが多いです。よくみると下記のような症状が出ています。
1. しこりや、白色や赤色の斑点が出来ている。
2. 口内炎や小さな傷が治りにくい。
3. 鈍い痛みやしびれ感がずっとある。
4. 食べたり飲んだりする際に苦しかったり不快感が残る。
5. 耳の付近が痛かったり喉に不快感が残る。首のリンパ節が腫れる。
6. 体重の減少が著しい。
1.~6.の症状が2週間以上続き、他の科で改善しない時は歯科医院を受診して下さい。

<h3>口腔癌の診断</h3>
診断は、まず、問診、お口の視診や触診、レントゲン検査を行います。ついでに疑わしい組織を採取し顕微鏡で調べます。

<h3>口腔癌の治療</h3>
口腔癌の治療は、手術療法・放射線療法・化学療法です。手術療法は、腫瘍やリンパ節の切除をする方法です。放射線療法は、放射線を癌細胞にあてて殺す方法です。化学療法は、抗癌剤という薬剤を注射や飲み薬で投与する方法です。化学療法は、手術療法・放射線療法と併用され、増殖や転移を抑え、手術療法・放射線療法の効果を高めます。

<h2>口腔癌のリスクファクター</h2>
1. たばこ
たばこに含まれる化学物質は、口腔の粘膜の癌の原因になります。たばこを吸うことに伴う熱や乾燥も原因になります。たばこを吸う人は吸わない人よりかなり口腔癌になりやすいです。
2. お酒
お酒に含まれるアルコールそれ自体に発癌性はないです。アルコールが消化された時に出来るアセトアルデヒドが口腔癌の原因になります。アセトアルデヒドは、口腔粘膜のDNAを損傷させたり、細胞分裂を阻害します。そのため、口腔粘膜の癌化を進めます。更に、アルコールは口腔粘膜の防御機能を低下させるので、たばこや食品の発癌物質が口腔粘膜に入りやすくなってしまいます。更に、アルコールは免疫の働きを弱めるので、癌細胞の排除を妨げてしまいます。お酒の種類・濃度・量によってもリスクの大きさは変わります。アルコール濃度が高く、量が多ければ多い程リスクは大きくなります。アルコール濃度の高い日本酒などは、リスクが大きいです。人によってはアルコールを分解する能力が低い方がいます。飲酒するとすぐ顔に出て顔が赤くなったり、少量でも吐き気・動悸などの症状が出る方がいます。このような方は、アセトアルデヒドが体に長く残るので、口腔癌のリスクは大きくなります。
3. 物理的な刺激
虫歯や、尖った歯、合わない被せ物や入れ歯などで、口腔粘膜が刺激されると、口内炎・前癌病変を引き起こします。口腔癌になる可能性が高まります。
4. 栄養不良
野菜・果物からとれるビタミンなど栄養が足らなくなると、口腔粘膜の抵抗力が下がり、癌に進行しやすくなります。
5. ウイルス感染
ウイルス感染も、口腔癌のリスクファクターとしてあげられます。
6. 年齢
年齢もリスクファクターになります。口腔癌は50歳以上の方に多く見られます。加齢により口腔粘膜や免疫に衰えが出てきます。たばこやお酒の生活習慣の蓄積もみられることがあります。ご高齢の方は口腔癌に気づきにくいことがあります。早期に発見できず治療が難しくなることがあります。
<h2>口腔癌の予防方法</h2>
1. 上記のようにたばこやお酒は控えめにされるといいです。
2. 食事内容のバランスを十分考慮し、免疫力を高め癌細胞の増殖を抑えましょう。
3. 歯磨きやうがいでお口の清潔を保ち、ウィルス感染や口内炎等の炎症を予防しましょう。歯が抜けたり欠けたりして、お口に刺激物がある場合、早めに歯科医院で治療しましょう。
4. 自分で気づきにくい場合もあるので、定期的に歯科医院での検診に行きましょう。早期に発見できれば口腔癌の治癒率は、かなり高くなります。お口の中に違和感・しこり、色の変化がある場合は、早めに歯科医院を受診して下さい。

<h2>まとめ</h2>
口腔癌の早期発見で、毎日歯磨きしながら自分でお口の中を確認することはとても重要です。鏡の前で自分で確認するときは、明るい光の下で、入れ歯があれば必ず外して下さい。口唇・歯茎・頬・舌に、しこりや、白や赤の斑点、しびれなどがないか確認して下さい。気になる症状があれば、早めに歯科医院で相談して下さい。
今回は、「口腔癌のリスクファクターと予防方法」について書かせて頂きました