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2023.08.25更新

みなさんの中に、下口唇に小さな水ぶくれができた、あるいは、水ぶくれが出来るのを繰り返しており困っている、という方はいらっしゃいませんか?

もしかしたらそれは、”粘液嚢胞”と呼ばれるものかもしれません。

お口にできる水ぶくれという症状には、その大きさやそれに痛みを伴うかどうかなどによって関係している病気や原因が変わってきます。

そんな中でも、日常的によく遭遇するのが良性疾患である「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」です。

今回は、この「粘液嚢胞」について、その特徴や治療方法等を詳しくお話していこうと思います。

<h2>粘液嚢胞とは?</h2>
嚢胞(のうほう)とは、体の分泌液が袋状に貯留する状態をいいますが、粘液嚢胞の場合、唾液が袋状になって貯留している状態です。

そもそも、口腔内には、「唾液腺」とよばれる唾液を分泌する組織があり、大唾液腺と小唾液腺に分けられます。

大唾液腺は耳下腺、舌下腺、顎下腺といった大きめの唾液腺、小唾液腺は口腔粘膜に存在する無数の小さい唾液腺です。

粘液嚢胞については、小唾液腺から出ている管が傷ついたことによって、管が詰まったり唾液が漏れたりして、結果的に唾液が袋状に貯留した状態を表します。

<h3>症状</h3>
見た目は直径5㎜程、透明な半ドーム状で、比較的表面に近いところにできた嚢胞は薄紫色に、深いところに位置する嚢胞は少しピンクがかった色になっています。

特に痛みやしびれなどの自覚症状はなく、気づいたらできていた、というケースが多いです。

ただ一方で、水ぶくれ以外にも痛みや赤みがあるなど、他の症状がある場合は、粘液嚢胞とは異なる病状として違う疾患を疑います。

<h3>好発年齢、好発部位</h3>
小唾液腺が存在する場所には、基本的にどこでも生じるものですが、好発部位としては「下口唇の粘膜」「舌の下、裏」があげられます。

また、好発年齢としては、子どもから成人まで均等に見られ、50代以降は少ないともいわれます。

<h2>粘液嚢胞ができる原因は?</h2>
先ほど、小唾液腺の管が傷つくことで、粘液嚢胞が生じるとお話ししました。

この小唾液腺が傷つく原因としては、食事中に下口唇や頬粘膜を誤って咬んでしまう、あるいはブラッシング中の歯ブラシや食べ物があたることなどがあげられます。

さらに、歯の被せもの、詰め物、また歯自体が欠けていると、その鋭利になった部分が粘膜に触れ、傷つくことが原因のこともあります。

<h2>「再発しやすい」「繰り返しやすい」のが大きな特徴</h2>
さらに、粘液嚢胞は、再発しやすい、繰り返す、というのが大きな特徴です。

上でお話したように、粘液嚢胞ができる部位は、粘膜の部分でどうしても傷つきやすい場所なので、簡単に袋が破けてしまいます。

その際、嚢胞は中の貯留腋である唾液が出ていくので一旦しぼんでいきます。

これで一見治ったと感じるのですが、唾液腺の導管自体は傷ついたままなので、数日後に再び嚢胞ができてきます。

こういった理由から、粘液嚢胞については、自然放置していてもなかなか完治しない、同じ症状を繰り返す、と言われています。

つまり、再発しやすいということです。

<h2>粘液嚢胞の治療方法は?</h2>
これまでの内容を踏まえ、粘液嚢胞の主な治療方法をご紹介していきます。

<h3>経過観察</h3>
粘液嚢胞が出来る場所によっては、普段のお食事やオーラルケアに支障がなく、生活に不自由がない場合があります。

この場合は、無理に触らずに経過観察で様子をみることがあります。

ただし、上でもお話ししたように、粘液嚢胞は繰り返しやすいという特徴があります。

本当に経過観察で問題ないのかどうかについては、かかりつけ医と相談する必要があります。

<h3>摘出術</h3>
外科的な治療法で、嚢胞とその周囲の傷ついた小唾液腺を一塊で摘出する方法です。

外科と聞くと少し敬遠される方もいるかもしれませんが、主に外来で局部麻酔を用いて行い、実際の処置時間はおよそ15分の小手術で比較的負担の少ない処置です。

術後は痛み止めなどを服用しながら経過観察し、1週間ほどで抜糸します。

この摘出術では原因そのものを取り除くので、再発リスクが抑えられます。

<h3>レーザー治療</h3>
こちらは摘出術と同様、局所的に麻酔を行いレーザー照射で粘液嚢胞を切除します。

レーザー治療は、メスを使用する摘出術と比べて、出血や術後の痛みが少ないというメリットがあります。

ただレーザー治療を行うかどうか、適応かどうかは、粘液嚢胞の範囲や大きさ、部位によるところがあり、歯科医師の診断が必要です。


<h2>お口の水ぶくれ、気になった方は早めに歯科医院で相談!</h2>
ここまで粘液嚢胞についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回紹介した粘液嚢胞の特徴などに、ご自身の症状が当てはまっているかも、と思われる方は歯科医院で診てもらいましょう。

良性なので今すぐに対応しなければならないことはありませんが、一度しっかりと原因を除去し治療することで再発を防ぐことができます。

また一方で、水ぶくれだけでなく痛みがある、出血がある、など他の症状もある場合、粘液嚢胞以外の他の疾患である可能性もあります。

その場合は粘液嚢胞とは異なる治療、服薬等も必要になってきます。

こういったことからも、くり返す水ぶくれがある方は、自己判断でそのまま放置せず、是非歯科医院を一度受診し、しっかりと診断をうけることをおすすめします。

投稿者: 柏木歯科医院

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