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2023.06.30更新

 

こんにちは
本物の歯と同じような仕上がりで知られるオールセラミッククラウンですが、オールセラミッククラウンが広く普及するきっかけとなったのが、ジルコニアというセラミック材料の登場です。
ジルコニアがセラミッククラウンに使われるようになったのは2005年です。
それからまもなく20年になろうとしています。
この間、ジルコニアは進化を続け、現在では第4世代とよばれるジルコニアが登場しています。
今回は、進化し続けるセラミック材料・ジルコニアについてお話しします。

<h2>ジルコニアって何?</h2>
まず、ジルコニアについてお話しします。
<h3>ジルコニアについて</h3>
ジルコニアは、正式には二酸化ジルコニアというセラミックで、原産地はオーストラリアや南アフリカなどです。
ジルコニアは、人工ダイヤモンドともよばれています。
セラミッククラウンのほか、身近なところではアクセサリーから人工関節、さらにはスペースシャトルの断熱材まで広く使われているセラミック材料です。
<h3>歯科でのジルコニア</h3>
ジルコニアは、セラミックの中でも粘り強さに優れた性質を持ち、とても強くて丈夫です。
しかも、光透過性を持ち、色も白色ということから、セラミッククラウンの材料として有望視されていました。
しかし、あまりにも硬いため、精度の高い加工が難しくセラミッククラウンに使うのは困難でした。
そんな中、コンピューターと工作機械の組み合わせた工作技術が歯科に導入されました。
これにより、高い精度を保ちつつ、ジルコニアを加工できるようになり、オールセラミッククラウンへの道が開けたのでした。
<h3>ジルコニア・オールセラミッククラウン</h3>
ジルコニアを使ったセラミッククラウンをジルコニア・オールセラミッククラウンといいます。
セラミッククラウン自体は、従来からあったのですが、セラミックの脆さを補うため、内面を金属で補強していました。
このため、セラミックの特徴である透明感が金属により損なわれていたのです。
そこで、内面の補強材を金属からジルコニアに代え、セラミックの透明感を最大限に発揮できるようにしたのが、ジルコニア・オールセラミッククラウンです。
ジルコニア・オールセラミッククラウンは、本物の歯と見紛うばかりの自然な仕上がりが得られます。
金属を使わないので金属アレルギーの心配もありません。
このような特徴から、従来型のセラミッククラウンに代わる新世代のセラミッククラウンとしてジルコニア・オールセラミッククラウンは広く普及していったのです。

<h2>ジルコニアの進化</h2>
ジルコニアは、本物の歯と同じような仕上がりを実現できるセラミック材料ということで、登場当初から注目され、年々改良が繰り返されています。
<h3>第1世代</h3>
第1世代は、2005年に登場した最初のジルコニアです。
大変強度が高いのが特徴なのですが、光の透過性が不足し、グラデーションのない均一な真っ白な色調であったため、自然な色料を再現することはできませんでした。
そこで、第1世代ジルコニアは、金属に代わるセラミッククラウンの内面の補強材に使用されることになったのです。
それでも、セラミッククラウンの縁が見えると、ジルコニアの白さに違和感を感じかねません。
セラミッククラウンが薄すぎると、内側のジルコニアが透けてしまい、不自然さのある白さになってしまいます。
このため、セラミッククラウンの縁を歯肉より下に入れて縁を隠す、不透明な白さをなくすために十分な厚みを持たせるなどの必要がありました。
適応範囲が狭く、歯を削る量が多いのが第1世代のジルコニアの欠点でした。
<h3>第2世代</h3>
第2世代のジルコニアは、2013年に登場したジルコニアセラミックです。
第1世代の白すぎるという不透明さを解消するために、成分の調整が行われ、光の透過性が改善されたのが特徴です。
第1世代のジルコニアでは、透明度を上げると強度が下がるのが難点だったのですが、第2世代になり透明度を上げても強度の低下は最小限にとどめられました。
これにより、厚みが少なくても自然な色合いを再現できるようになり、歯を削る量が減りました。
改良された第2世代のジルコニアは、奥歯など目立ちにくいところならジルコニア単体のセラミッククラウンも可能になり、神経が残っている歯にも十分適用できるようになりました。
<h3>第3世代</h3>
第3世代のジルコニアでは、本物の歯のようなグラデーションを備えた上、高い光透過性を有する審美性の高いジルコニアが実現しました。
このため、第3世代のジルコニアでは、目立ちやすい前歯部もジルコニアだけでセラミッククラウンを作ることも可能になりました。
一方で、第3世代のジルコニアの特徴でもある光透過性の向上は、ジルコニアの強度の低下を伴い、第1世代の3分の2程度まで下がってしまいました。
強度の低下により、欠損歯が3本以上になるようなロングスパンとよばれる大きなブリッジに使うのは難しくなりました。
<h3>第4世代</h3>
第4世代のジルコニアの特徴は、第3世代のジルコニアで低下した強さを第1世代並みに強化したところにあります。
もちろん、強度を上げて透過性が低下したのでは、第1世代と違いがありません。
光の透過率は、第3世代より少し下がる程度、第2世代を上回るほどにまでとなっています。
強度と審美性を両立させたのが、第4世代ジルコニアの特徴といえます。
この改良により、第4世代のジルコニアは、ジルコニア単独でも十分な審美性を確保できたことは言うまでもなく、ロングスパンのブリッジにも十分応用できるようになりました。

<h2>まとめ</h2>
今回は、オールセラミッククラウンが普及するきっかけとなったジルコニアというセラミック材料の進化についてお話ししました。
ジルコニアを使ったセラミッククラウンは光透過性が高く、本物の歯と同じような仕上がりが得られる上に、強度も高いのが利点です。
このため、ジルコニアに対する審美歯科からの期待度はとても高く、登場してから20年ほどの間に改良が繰り返され、現在では第4世代になっています。
美しさを求める声がなくならない限り、それに応えるべく、ジルコニアの改良はこれからも続くことでしょう。

 

投稿者: 柏木歯科医院

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