ありふれた治療である根管治療が難しい理由
こんにちは
むし歯が奥深くまで進んだ歯や、歯の根の先に膿がたまった歯には根管治療という歯の根の治療が行われます。
根管治療自体はよく行われる治療なのですが、実はとても難しい治療です。
根管治療を受けていても、症状が改善しない、もしくは繰り返してしまうという方も珍しくありません。
一般的によく行われている治療なのに根管治療が難しい理由はどこにあるのでしょうか。
今回は、根管治療が難しい治療とされる理由についてお話しします。
<h2>根管治療について</h2>
根管とは、歯の根の内部にある歯髄という歯の神経や血管が治っているところです。
根管治療は、この歯の根の中にある根管への治療のことです。
根管治療には、歯髄が生きている場合に行われる抜髄や、歯髄が死んでしまっている、もしくは歯髄がすでに取り除かれている歯に行われる感染根管治療などがあります。
<h3>根管治療が目指すもの</h3>
根管治療は、根管内部を消毒して細菌を完全に取り除き、根管内部に細菌が入り込まないようにする治療です。
歯の内部の無菌化が根管治療の目指すところといえます。
<h3>根管治療の方法</h3>
歯の内部を無菌化するために、根管内に残された歯髄組織などの有機物を除去すると同時に、根管の壁に入り込んだ細菌などをかき出します。
そして、歯の内部を隅々まで消毒して、根管内部を埋める根管充填という処置を行います。
<h2>根管治療が難しい理由</h2>
根管治療の方法を読むと簡単そうに思われるかもしれませんが、根管治療は難しい治療です。
その理由をご説明します。
<h3>全ての根管が見えるわけではない</h3>
歯のレントゲン写真を撮影すると、根管が黒く写し出されます。
一見するとこれが根管のすべてに思われるのですが、そうではありません。
レントゲン写真に写っている根管以外に、側枝という細かく枝分かれした部分が無数にあります。
側枝はあまりにも細いので、レントゲン写真の解像度では写し出せないのです。
見えないところは処置することができないので、見えない根管の存在が根管治療を難しくします。
<h3>側枝の治療は難しい</h3>
側枝はとても細いですが、細菌から見ると細菌が入り込むには十分なサイズです。
側枝の中で細菌が増えた場合、そこも治療しなければならないのですが、レントゲン写真にも写らないほどの細さなので、消毒することはとても困難です。
側枝の消毒が難しいと根管治療の目的である根管の無菌化も難しくなります。
<h3>根管が真っ直ぐとは限らない</h3>
側枝だけでなく、レントゲンに写る根管にも根管治療を難しくする要因があります。
それは根管の形です。
歯の根の形は真っ直ぐな直線をイメージされる方が多いのですが、意外と根が曲がっていることも多いものです。
根の先は先に行けば行くほど細くなりますので、細い先の部分が曲がっていると、治療に使う器具を入れることが難しくなります。
器具を入れることが難しくなれば、根管内部の掃除も難しくなりますから、根管治療を困難にします。
<h3>根管治療は手探り</h3>
お口を大きく開けてもらっても、実は根管を直接見ることはできません。
あくまでも入り口が見えるだけです。
入り口から針の方に細い器具を根管内部に入れて、治療をしているのですが、ほとんど手探りといった状態で治療が進められます。
経験と感覚に頼った治療に近いので、こうした実情も根管治療が難しい理由のひとつです。
<h3>緊密な根管充填が難しい</h3>
根管内の無菌化ができたら根管を埋めて隙間をなくす根管充填を行います。
根管充填の際、隙間が残ると、細菌が繁殖する余地になってしまいますので、隙間がないように埋めなければなりません。
ところが、目に見えない側枝の部分や細く曲がった根の先の部分まで隙間なく埋めることはできませんので、側枝の部分にどうしても隙間が生じてしまいます。
この部分で細菌が繁殖する余地が生まれてしまいますので、治療の予後を難しくしてしまいます。
<h2>根管治療の予後が悪いと・・・</h2>
根管治療の経過が良くない場合の治療法は、どんなものがあるのでしょうか。
<h3>抜歯</h3>
抜歯すれば、根管という細菌感染の大元がなくなるので、歯肉の腫れや歯の痛みなどもなくなります。
もちろん抜歯すると歯そのものがなくなってしまいますので、できることなら根管治療で歯を治したいものです。
<h3>意図的再植術</h3>
意図的再植術は、抜歯して直視下で歯の処置を行い、抜いたところに再び歯を戻すという治療法です。
意図的再植術であれば、歯を直視して処置できますから、根管治療が難しかった場合でも、治しやすいです。
歯も残せます。
問題は、きれいに抜歯できるかという点です。
もし、歯を抜くときに歯の根が折れたり、ヒビが入ったりすれば、戻すことができなくなるからです。
<h2>まとめ</h2>
今回は、根管治療が難しい理由についてお話ししました。
根管治療は、歯科ではありふれた治療なのですが、
①全ての根管が見えるわけではない
②側枝の治療は難しい
③根管が真っ直ぐとは限らない
④根管治療は手探り
⑤緊密な根管充填が難しい
などの理由からとても困難な治療となっています。
当院では、ひとつひとつのステップを着実に進めることで困難な根管治療の予後を高めています。
歯の根の治療を受けたけれど違和感が残ったままになっている、歯の根の治療をしなければならないほどの大きなむし歯があるなどでお困りの方は、当院でぜひご相談ください。